第七十三話
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地上に墜ちていく。日本刀《銀ノ月》で切り払う直前に網となったため、狙ってみたが、やはりあの弾丸は武器が近づくと網になるらしい。その習性を利用すれば、今のように無力化が可能のようだが……この程度の対処法では焼け石に水に過ぎない。
「皆さん!」
ドラグーンが回避行動を取るために飛竜にへばりついていると、ユイの伝令が拡声されて天蓋近くから響き渡る。ここからはよく見えないが、やはりキリトは蜘蛛の近くで戦っているらしい。
「『防壁』が発射される時は、『弾丸』も『網』も出て来ません!」
「――おい!」
「分かっている、お前も行け!」
ユイの――キリトのかもしれないが――作戦の真意を察すると、俺は飛竜から放り投げられるようにして飛翔する。接近していた大剣持ちの守護戦士を、勢い任せに一体切り裂きながら、守護戦士の上半身を蹴って踏み台にしながら加速、急ぎ天蓋近くへと羽ばたいていく。
「うっ……!」
その俺の背後には、大剣持ちに囲まれたドラグーンが、鋼のようだった翼を無残にも切り裂かれていた。それを操っていたケットシーのプレイヤーも、飛竜の身動きが取れずに弓矢の攻撃を受けたらしく、そのHPを大きく減じさせていた。救援にいきたいが、もう天蓋に向かって加速してしまって――いや、もはやあれだけの守護戦士に囲まれては手遅れだ。
ドラグーンを見捨ててさらに加速すると、背後で飛竜の断末魔が木霊した。出撃の際には、雷のようだと形容したその断末魔はまた大きく――最後の抵抗もまた、誇り高き飛竜に相応しいものだった。
「ファイアブレス、撃てぇ!」
ドラグーンが2つのポリゴン片になる直前、再びチャージをしたファイアブレスが蜘蛛に向かって発射された。圧倒的火力に飛竜の首を切り裂こうとしていた守護戦士は一瞬にして蒸発し、遠距離で狙いを済ましていた弓矢持ちも燃えカスとなる。そのファイアブレスを、蜘蛛は先と同じように大量の糸を吐き出し防壁と化すと、渾身のファイアブレスと糸の防壁がぶつかり合った。
……結果は同じ。ファイアブレスは無情にも糸の防壁を突破出来ず、焼き痕を残すだけにすぎなかった。
「せやっ!」
――そして糸の防壁を、ファイアブレスの真後ろにつけていた俺が切り裂いた。ファイアブレスでダメージを受けた糸の防壁は容易く切り裂くことに成功し、横一文字で切り裂いた防壁から、待機していた機動部隊が一気に突き進む。狙い通り、糸の防壁を作り上げた直後の蜘蛛からは、散弾銃のような糸の弾丸の抵抗はない。
待機していた機動部隊が全員糸の防壁をくぐり抜けたことを確認すると、最後に俺が防壁を突破する。俺たちに追いすがってきていた守護戦士たちは、光の矢は防壁を突破出来ず、大剣持ちはその巨体のために防壁をくぐり抜けることが
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