第七十三話
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をしたモンスターは、天蓋を塞ぐように出現すると、そのままピクリとも動かなくなった。天蓋の奥にあるゲートに向かうための、最後の壁、といったところか。この蜘蛛型モンスターを倒すことが出来なければ、あのゲートを突破するどころか、天蓋の内側に侵入することすら難しい。
さらによくないところは、守護戦士以外のモンスターの出現という想定外の事態により、機動部隊の足が止まってしまったこと。機動部隊という名の通り、ここまでハイスピードで突き抜けることは出来たものの、ボスを倒す火力を備えている者は少ない。慌てずに立ち止まったことにより、一瞬のうちに守護戦士たちに取り囲まれてしまう。
「……俺たちであの蜘蛛を倒すぞ!」
……もはや退路はない。キリトが自らに言い聞かせるようにしてそう叫ぶと、ついてきた機動部隊の腹は決まる。あの蜘蛛を倒すことが出来れば、ゲートまでもう少しなのだから。
まず我先にとキリトが蜘蛛に向けて翼に力を込めた瞬間、動かなくなっていた蜘蛛の目がグルリとこちらを向き、不気味な目が俺たちを捉えた。この場には似つかわしくない目から、嫌な気配として俺の脳内に警鐘を鳴らす。
「避け――!」
俺の警告の言葉よりも早く、蜘蛛の口から散弾銃のように糸が発射される。高速で大量の弾丸の如く糸が幅広く広がり、そちらに向かって飛翔していた機動部隊を包み込むようにして放たれる。
「くっ……!」
「うわぁ!」
幸いにして射程は短く、後方にいた者は下がるだけで対処が出来た。しかし、ギリギリまで接近していた者たちはそうはいかなかった。俺はやはり日本刀《銀ノ月》での切り払いを選択し、蜘蛛の糸の真芯を捉えて切り裂くことに――失敗する。弾丸のようだった糸の形状が、日本刀《銀ノ月》に接近した瞬間、捕縛用の網のように変化、そのまま《銀ノ月》ごと俺を拘束する。
「っ……!」
捕縛する糸には何のダメージもないが、翼も拘束され全く身動きが取れなくなってしまう。動くのは足ぐらいだが、空中で翼が拘束された者の運命は、墜落のみだ。俺と同様に捕縛されたプレイヤーも、抵抗するものの身動きが取れず、下には守護戦士たちが手くずね引いて待ち構えていた。
「みんな!」
そこに散弾銃を避けていたリーファが現れると、網で捕縛されたプレイヤーたちの糸のみを切り裂く。翼を勢いよく展開すると糸は弾け飛び、守護戦士たちが放った矢を腕に装着された籠手で弾き飛ばす。
「助かった!」
しかし、今回は運よくリーファに助けられたが、そうずっと上手くいく訳もない。蜘蛛はまるで雨のように糸を降り注がせており、射程圏内にはとても入れそうになかった。しかし、機動部隊に射程圏外からの攻撃手段を持つ者は少ない……!
「このっ!」
後方から切りか
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