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101番目の舶ィ語
第四話。超えてしまった境界線……
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始めた。
一之江は音もなく、いつものようにスススッと歩いて後をついて来て俺の横を歩き出した。

「本当に異世界に入ってしまう可能性もあるので、音央さんは入らないようにしていただくとしましょう」

「うん、そうだね」

俺だって、ロアに関しては素人に毛が生えたくらいの知識と経験しかないが、音央は完全に一般人だ。
だから巻き込むわけにはいかない。
なので……。

「音央、ちょっといいかな?」

「何?」

「俺と一之江が先に入るから、携帯のビデオカメラで俺達の姿を撮影してほしい」

携帯電話を構えながらジェスチャーをした。

「動かぬ証拠になるだろ?」

「そこまでするものなのね。まあ、いいわ。撮るわよ」

何も起きないと思っている音央にしてみれば、ただの記念撮影と変わらない。
その行動が危険回避となっているなんて思わないからね。
音央がデコレーションされた携帯電話を取り出したのを見て、微笑ましく思ってしまった。
いかに彼女が、普通の『女子高生』としての生活を楽しんでいるのか、よく解る。

「ここでいい?」

音央はゲート脇の柵に立って尋ねた。

「うーん、もっと全体が映った方がいいんじゃないかな?」

「あんた達が消えるかどうかの撮影だもん。近い方がいいでしょ?
それに、これってそんなに望遠出来ないし」

……うーん、本当はもう少し離れてくれた方が安心出来るんだけど……まあ、一応あの柵から向こう側が園内、という事になるのかな?
なら、あの柵を超えなければ平気……だよな?
俺はそう判断し、頷いた。
この判断が間違いだった、と……後になって後悔するとは知らずに。

「動画の時間は15秒間だけだけど、いいわよね?」

「うん、俺達がこのゲートに入るだけだからね」

「あいよ、OK」

携帯電話のボタンをポチポチ操作しながら音央は答えた。
一之江の方を見ると、『仕方ない』という顔をしていた。
あまり露骨に遠ざけるのも不自然だしな。
音央を巻き込まない為いも、あくまで『仲が良い高校生3人組が、ちょっと都市伝説の噂を検証しに来た』という形で終わらせたいからね。

「はい、OK」

準備を終えた音央が、携帯電話を自分の目の前に構えた?

「いつでもいいわよ」

「んでは、そろそろ日没タイムなので私とモンジは同時に入ります」

チケットを俺に渡して、一之江と俺は隣り合って移動を開始した。
入り口は2個。
それぞれチケットを持った俺と一之江はチケットを右手側にある機械に投入すると______カション、という音と共に、目の前にある両扉を模したゲートが開く。
投入するまで、ゲートが開くタイミングと、日没時間がピッタリ合わないといけないのかは解らなかったが…
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