暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第四話。超えてしまった境界線……
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「何がよ?」

「何かあったら俺が守るから」

「も、もう、馬鹿なんだから……。
でも……ありがとう」

うん。ちょっと照れた顔の音央も可愛いね。
音央は手に持っていたポーチに何気なく手を入れると、巾着袋を取り出した。

「それは何かな?」

「お守り」

そう言うと、大切な物であるかのように、ぎゅっと胸の前で抱きしめた。
うむ。美少女が胸の前で何かを持つ姿もとても可愛いね。
『お守り』にしてはでかいと思うけど。
携帯電話とかが入りそうなくらいの大きさだな。
丁度あんな感じのケースが欲しいんだよね。突然、発熱する物を持っているから。
ある意味俺にとっても『お守り』だしね。
そう、あの袋に入りそうな……。
……まてよ……とも一瞬思ったが、そんなわけないと思い直す。
中学時代から彼女を見てきたが怪しい素振りは一度も見せなかったからね。
それが演技かもしれないが、騙されたとしても騙された時に何とかしよう。そう、思った。

「中にありがたい木片とか、御神体みたいなものとか入ってるのかな?」

「ううん。よく解らないんだけどね、開けてないから。
でも、大事に持っていた方がいいって、小さい頃に言われたの」

「誰に?」

「うーん、覚えてないのよ、これがまた。叔父さんとかじゃないし……パパやママでも、ないしねぇ」

「おっと……ごめんよ」

音央には両親がいない。
今は叔父さん宅にお世話になっているみたいだ。

「ん? ああ、全然いいって。っていうか、今の流れは別にモンジ悪くないじゃない」

「いや、でも……」

「あははっ、ほんとにモンジは女には優しいわね。いいんだって。
パパもママも、きっと今でもあたしの事を見守ってくれているだろうから」

ケースを胸の前で抱えたまま、音央は夕焼け空を見上げた。
叔父さん達とは仲良くやっている、という一文字の記憶があったが、ちょっと失敗してしまった。
なんだかんだで俺も動揺していたようだ。
きっと不思議な夢の話題で気が動転していたからだな。
反省しないとな。今の俺は女性を傷つけるなんて許せないからね。

「そっか。なら大事にしないとね」

「うん、大事にしまくってるわ」

巾着袋の口辺りから、黒っぽい物が見えたような気がしたが、それが何かは何故だかいまいち思い出せない。

「お待たせしました。そろそろ日没タイムですね」

時間がゆっくり過ぎるような感覚を感じていると、一之江が戻ってきた。
一之江の言葉に俺は緊張をした。
『日没と同時に入ると神隠しに遭う』。
その噂が本当だという事を俺と一之江は知っているからだ。

「うん、それじゃあ、行こうか一之江」

俺は一之江に声をかけてゲートに向かって歩き
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