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101番目の舶ィ語
第四話。超えてしまった境界線……
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平日では客足はほとないんだけどな。

「あと数年もしたら潰れちゃうのかしらね」

寂しそうに音央が呟く。
土日にどれだけの人が入っていのかは解らないが、最近では遊園地やテーマパークがどんどん潰れているというのは事実だ。俺達が大人になった時、自分の奥さんや子供達を連れて遊びに行く場所が少なくなっていく……それはなんだか、とても寂しい事だ、と思った。
まあ、そんな結婚相手がいればだけどな。

「あたしが将来誰かの奥さんになって、子供達と遊びに来るまでは……せめて残っていて欲しいんだけどなぁ」

「くすっ」

「ん? 何よう、いきなり笑って」

「ごめんよ。俺も同じ事を思っていたんだ」

「あははっ、もしかして会長と結婚したら、とか思ったの?」

「もちろんそれも思ったよ。
けど、その相手は先輩とは限らないよ?
音央かもしれないし」

「バッ、馬鹿じゃないの! 変な妄想するのはやめなさいよ!」

「妄想するのは自由だからね」

「はいはい、夢を持つのは大事よね。うん」

「それなら音央、君はどうなんだい?」

「あたし? あたしは……そうねえ。今のトコ、ドキドキしてる相手はいないかな」

「そっか……」

なんだか、妙にドキドキしてしまった。
音央の言葉に安心した自分がいる。

「まぁ、音央はモデルやってるし、スタイルもいいからモテるだろうしね」

「体目当ての男なら大量にいるわね。モンジもエロい目でよく見てるし」

「女性の体を見てしまうのは本能なんだよ。
見ないと失礼にあたるからね。
音央にしてみると、肩とか凝ったり、嫌な視線で見られたりして大変なのは解るんだけどね……」

「あははっ、まあね。そりゃ、肩は凝るし、男共はあたしの顔や性格よりもまず胸を見てくるし。可愛いブラはないし、お風呂の時は腕が重いし、悪い事もいっぱいあるけど……」

ケタケタ笑いながらそう言う音央。
あんまり気にしていないのか、開き直ったのか、気にしているけど強がっているのか。
なんとなくだが、強がっている気がするなぁ。

「でも、せっかく誇れるものなんだもん。この胸も、綺麗な形を保てるように腕立て伏せとかしてるし。天から与えられたものは、嫌がるより好きになった方がいいでしょ?」

「……そうだね」

音央のその言葉は俺の胸に突き刺さる。
あっちの俺に聞かせてやりたい言葉だよ。
かつて、アリアに『あんたのその才能は人生のプラチナチケットよ』って言われたが当時の俺は要らなきゃただの紙キレと同じだ、なんて言ったからな。
確かに俺は自分で選んで力を手に入れたわけではない。
百物語(ハンドレッドワン)の主人公』、『不可能を可能にする男(エネイブル)の主人公』のロアは成り
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