第4部 誓約の水精霊
第2章 忠誠と敬意
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ほ、ほんと?」
「ああ」
「な、なになに?」
ルイズはウルキオラに詰め寄った。
「俺の霊圧を、精神力に変換させて、お前に渡すことだ」
「た、確かにあんたの力は強大だけど、そんなこと出来るの?」
ルイズが言った。
「ああ、このルーンが、イヴァールディーのルーンがそれを可能にしてくれる」
「じゃあ、お願い。私は何をすればいいの?」
「お前はそこで立っているだけでいい」
そういって、ウルキオラはルイズの肩に手を置いた。
ウルキオラに触られたので、少し顔が赤くなった。
「始めるぞ」
左手の甲に刻まれたルーンが光り始めた。
すると、ウルキオラの周りに、緑色の霊圧が渦を巻いて現れた。
それは、ドド、と軽く音を立てて、ルイズの中に流れ込む。
「んっ…」
ルイズは、自分の中に流れ込んでくるウルキオラの力を感じ取った。
暖かい何かが、ルイズの中で渦を巻いて唸っている。
これがウルキオラの……、そう思うと、顔がまた赤くなった。
ウルキオラの手が、肩から離れた。
ルイズは少し名残惜しく感じたが、それを理性で吹き飛ばす。
「終わりだ」
ウルキオラはそういって、いつもの椅子に腰かけた。
「あ、ありがとう」
「精神力に変換したとはいえ、まだお前の体になじんでいない。使うにはもう少しかかる」
ウルキオラはそういって、机の上にあった本を開いた。
ルイズはそんなウルキオラの手から、本を取り上げた。
「まだ何かあるのか?」
ルイズは無言のまま、ウルキオラの袖を引っ張った。
「寝る」
「そうか」
沈黙が流れる。
「だから、寝るの」
「なら寝ろ」
ルイズはウルキオラには、通じないと知ると、ああもう、といってウルキオラをベッドに引っ張った。
「一緒に寝るの!なんでわかんないのよ!」
「ならそう言え」
ルイズは、小声でわかってくれてもいいじゃない、と言って布団に潜り込んだ。
ウルキオラもベッドに横たわる。
しばらく、ルイズはぶつぶつと文句を垂れていたが、そのうちにおとなしくなった。
ウルキオラは、ポケットの指輪を指でなぞりながら、渡すのを忘れたな、と思った。
明日渡せばいいか、と思いながら、窓から見える双月を眺めた。
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