第4部 誓約の水精霊
第2章 忠誠と敬意
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、溢れるように入っていた。
商人は、ウルキオラがそんなにお金を持ていることに驚いたらしい。
「こ、こんなにいりませんよ。四枚で結構です」
先々王の肖像が彫られた金貨を四枚取り上げると、商人はルイズにペンダントを渡す。
ルイズはしばしあっけにとられたが、思わず頬が緩んでしまった。
ウルキオラは、アンリエッタから下賜されたお金で、まず自分のための買い物をしてくれたのだ。
そこが凄く嬉しかった。
手でしばし弄繰り回した後、ウキウキ気分でペンダントを首に巻いてみる。
お似合いですよ、と商人がお愛想を言った。
ウルキオラに見てほしい、と思って袖を引っ張る。
しかし、ウルキオラは他の宝石を見て、動かない。
一体何を夢中で見ているのかしら?
「どうしたの?」
ルイズはウルキオラの顔を覗き込む。
そして目が合う。
ルイズは恥かしくなって、目をそむけた。
「女は…」
「え?」
ウルキオラが小さく呟いた。
ルイズが聞き返す。
「こういうものが好きなのか?」
「う、うん…みんながみんなってわけじゃないけど…」
「そうか…」
ウルキオラは商人に向き直る。
「この、緑色の指輪を三つくれ」
「へい。六エキューです」
ウルキオラが金貨を渡す。
商人がそれを数えて、指輪をウルキオラの目の前に差し出した。
ウルキオラはそれを受け取り、ポケットに入れた。
「指輪なんてどうすんのよ?」
ルイズはウルキオラが指輪を買ったことを不審に思った。
「お前には関係ない」
そういってウルキオラは人ごみに紛れた。
「ちょ、ちょっと待ってよ」
ルイズもその後を追った。
部屋に戻ってきたルイズは、ベッドの上に横たわると、鼻歌交じりで始祖の祈祷書を開いた。
どうやらご機嫌なようだ。
ウルキオラが部屋を出ようとドアに手をかける。
しかし、ルイズが杖を振って『ロック』の呪文をかけ、鍵を閉めてしまったので、開かなかった。
「こんな夜中にどこに行くのよ」
「なんだ。簡単なコモンマジックができるようになったのか?」
ウルキオラはドアから手を離し、ルイズの方を向いた。
「ええ、虚無に覚醒したら、出来るようになったわ。未だに系統の方は無理だけど……って違うわよ!どこに行くのかって聞いてるの!」
「シエスタのところだ」
シエスタという単語を聞いて、ルイズはしかめっ面になった。
「何しに行くのよ」
ルイズはじろっとウルキオラを睨んだ。
「指輪を渡しに行く」
「な、なんでよ!」
ルイズはベッドから立ち上がった。
「マフラーのお礼
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