第4部 誓約の水精霊
第2章 忠誠と敬意
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直る。
思いついたように、近くの机の上にあった巾着袋を手に取ると、それをウルキオラに手渡す。
その中には、宝石や金貨などがぎっしり詰まっていた。
「これからもルイズを、よろしくお願い致しますわ。ウルキオラさん」
「いらん」
ウルキオラは、渡された巾着袋をアンリエッタの前に突き出す。
「是非、受け取ってください。本当ならあなたを『シュヴァリエ』に叙さなければならぬのに、それが出来ぬ無力な女王のせめてもの感謝の気持ちです。あなたはわたくしと祖国に忠誠を示してくださいました。報いるところがなければなりませぬ」
アンリエッタは真摯な目でそう告げた。
ウルキオラはそんなアンリエッタの目を見つめる。
「お前は俺を過大評価しすぎだ。アンリエッタ」
「どういう意味でしょうか?」
アンリエッタもまた、ウルキオラの目を見つめる。
「俺は、何もシュヴァリエとかいう爵位を貰いたくてアルビオン軍を叩きのめしたわけではない。それに、俺はお前にもこのトリステインにも忠誠を示した覚えはない」
ウルキオラのあまりの言葉に、ルイズは怒りの目を向けた。
「ちょっと!ウルキオラ!あんたどうゆう……」
「いいのです。ルイズ」
「姫様…」
アンリエッタはルイズの怒りを鎮めた。
「ウルキオラさん、あなたがどのような気持ちでアルビオン軍を斃されたとしても、結果的には私を、トリステインを守ったことになるのです。そして、私はそれを忠誠として受け取った。ただ、それだけです」
そういって、アンリエッタはウルキオラの手を握る。
「それを受け取って頂かないと、私の気が収まらないのです」
アンリエッタは真剣な顔つきでウルキオラを見つめる。
「わかった」
「ありがとうございます」
ウルキオラは、アンリエッタに突き出した巾着袋を、自分の方へと引き戻した。
ウルキオラとルイズは並んで王宮を出た。
「姫様の前で、あれはないでしょ」
「俺は、敬意を表する相手以外に言葉を思考したりしない」
ルイズは、ウルキオラを見上げて睨んだ。
「あんた、敬意を表する相手なんているの?」
「ああ、一人だけな」
ウルキオラは悲観的な顔つきで言った。
「そ、そう…」
ルイズはそれを読み取ったのか、申し訳なさそうに下を向いた。
「わ、悪かったわね」
「別に」
ウルキオラはルイズの歩幅に合わせることなく、ずかずかと歩いていく。
ルイズはとてとてと小走りして、ウルキオラの後を追い、袖を軽くつまむ。
無意識にウルキオラが離れるのが嫌だと感じたのである。
ルイズはウルキオラの袖を掴んで歩くうちに、ウキウキし
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