第4部 誓約の水精霊
第2章 忠誠と敬意
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口を開こうとしたところ、ウルキオラの言葉が響く。
「バカか?お前は?」
「バカとはなによ!」
急にバカ呼ばわりされたので、ルイズは激昂した。
「俺の司る死の形を忘れたか?」
「え…?」
ルイズは石化したかのように固まった。
アンリエッタは全く話についていけずに、ウルキオラを見つめている。
「俺の左手の甲に刻まれたルーンは、伝説の使い魔であるイーヴァルディー。そして、俺の司る死の形は、虚無。虚無を司る俺を召喚し、俺にイーヴァルディーのルーンを刻んだお前が、虚無の力を扱えるのは当たり前だろう」
ルイズはハッとした顔つきになった。
それもそうだわ、と思った。
「あの、ウルキオラさん?」
アンリエッタが言った。
「なんだ?」
「虚無を司るとは、どうゆう意味ですか?」
アンリエッタの質問に、ウルキオラは説明する。
「俺の種族が虚だということは覚えているか?」
「はい」
「俺はその中でも、破面という上位種族にあたる」
アンリエッタは興味深そうにウルキオラの話を聞いている。
「そして、破面は人間を死に至らしめる死の形を司る」
「死の形…ですか?」
「そうだ。それは孤独であり、老いであり、犠牲であり、虚無。これ以外にも様々な死の形がある」
「そのようなものが…」
アンリエッタはたいそう驚いた様子だ。
「それで、ウルキオラさんが司るものが…虚無だということですか?」
「そうだ」
ウルキオラはルイズに向き直る。
「ルイズ、お前の力は紛れもない虚無だ。俺の虚無とは性質の異なるものではあるが、それに変わりはない」
「う、うん…」
ルイズは軽く頷く。
「ルイズ」
アンリエッタは、真面目な顔つきでルイズの名を呼んだ。
「はい」
ルイズもそれに答えるように、背筋を伸ばす。
「あなたに約束してほしいことがあります」
「なんでしょうか?」
アンリエッタは深呼吸をする。
そして、再びルイズに向き直る。
「あなたの力はおそらく虚無。ならば、決して虚無の使い手ということを、公言しませんように。また、みだりに使用してはなりません」
「かしこまりました」
アンリエッタは、ポケットから一枚の羊皮紙を出した。
「これをお持ちなさい。私が発行する正式な許可証です。王宮を含む、国内外へのあらゆる場所での通行と、警察権を含む公的機関の使用を認めた許可証です」
ルイズは恭しく礼をすると、その許可証を受け取った。
「あなたとウルキオラさんにしか解決できない事件が持ち上がったら、必ずや相談いたします」
それからアンリエッタは、憮然としてウルキオラに向き
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