暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
~恋慕と慈愛の声楽曲~
Bitter Day
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の長髪を手早く束ねた。別に現実世界と違って、料理の中に埃が入るなんて現象は起こりえるはずもないのだが、そこはやっぱり気持ちの問題である。
「それじゃあ、ただのチョコってのも味気ないですね。ここはもうちょっと頑張って、ガトーショコラでも作りますか」
「ほう、美味しそうですね」
「……全部食べたらダメですよ?」
何となくここで釘を刺さなくてはアブないような気がしたので、一応少女は言葉を連ねる。
具体的には、できあがってちょっと目を放した瞬間にあら不思議、みたいなことになりかねないような。
食べませんよ、という生真面目な返答をおざなりに聞きながら、アスナは大袋の中から大人のこぶし二つ分もの直系を誇るロック鳥の卵を発掘し、ボウルの真上でばっかり割った。生れ落ちたエイリアンみたいに半透明の尾を引いて落下した卵黄を器用に白身と分ける。
「そういえば、ここに来るまで誰か他の人にお願いとかしたんですか?」
「はい、最初にユウキに」
「うわぁ……」
色々と人選を間違いすぎている。
確かに、アスナは個人的に《絶剣》ユウキと親交を深めているが、しかしその過程でどうしても彼女のウィークポイントを垣間見る機会が多いというのも事実である。
その最たるものが料理だ。ALOに移ってからは幸か不幸かまだその腕前を見ることはなかったが、アスナは一度SAOでユウキが作った料理が耐腐食性に優れている純銀製鍋の底を貫通する場面を目撃したことがある。現実世界では、硫黄のような特殊なガス環境下でしか腐食が起きないほどの耐蝕性能を持つ銀が、だ。
アレを見て、少女は心に誓った。絶対、この子をキッチンに入れてはならない、と。
「最初ってことは他に誰を……?」
「次はテオドラに。しかし、『あたしにスイーツなんて女臭いものを期待すんな』と言われました」
「そ、それはそれは……」
なんともコメントしづらい。
というか、女性としてその価値観もどうかと思うのだけれど、しかし逆に彼女らしいと言えば限りなくらしい答えにくすりと微笑を漏らす。
「シゲクニ老にも応援を求めたのですが、なにぶん多忙なお方ですから」
「ああ、シゲさんはほとんどログインしませんからね」
元【風魔忍軍】ギルドリーダー。《老僧の千手》シゲクニという人物について、同じ六王が一角《神聖剣》の右腕であったアスナでさえも、知っていることはそれほど多くはない。もっとも、元来【風魔忍軍】が隠密秘密を山ほど抱えた集団だったため、というのが大きな理由なのではあるが。
ALOでも会ったのは一、二回。三回はないだろう。
それも一緒に狩りに出たとかではなく一方的なもので、街中で少し見かけただけというものだ。
確かにあの老人はアスナとは
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