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101番目の舶ィ語
第三話。富士蔵村の噂 後編
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際に調査して、そのレポートをあたしが書いて。
んで、新聞部が内部掲示板にでっかく貼り出してくれる手はずになってるわ」

「ふむ、理にかなってますね」

キリカや一之江から聞いた話だが都市伝説の倒し方はいくつかあって。
中には、『対抗神話』などと呼ばれるものもあるが一般的なものとして。
人々の間に安心出来る噂を広める事。
それは『都市伝説』の間接的な倒し方であるため、気をつけなければいけないらしい。

「会長ってば、そういう新聞部を使った校内のメディア操作みたいなものも得意なのよ」

「へえー、凄いんだね、詩穂先輩って」

「あんたが釣り合うためにはもっともっと勉強しなきゃいけないわね?」

「そうだね、頑張るよ!
因みに音央も勉強が出来る人がタイプなのかな?」

「へ? あたし??
あたしは……あたしのタイプは……秘密よ!」

「そうか、秘密か……。
なら音央のタイプにもなれるように頑張るよ」

「バ、馬鹿なんだから!
あんたはそんな事は気にしないで先輩の事だけを考えてればいいの!」

「ははっ、そうだね。そうするよ」

「ふふっ、頑張りなさいな、恋する男の子っ」

一之江の手を離して、ぺしぺしと俺の肩を叩く音央。
肩を叩かれながら思った。解ってしまった。思い出してしまった。
この子は俺も怖がらないように、わざと明るくしてくれているんだ、と。
六実音央という少女は確かに、そういう人物だった。
場の空気や雰囲気を明るくする事が得意な、アイドルチックな才能のある少女だという事に。
ただ一つ解らない事がある。

……そんな彼女がどうしてさっきはバツが悪そうにしていたんだろう?

「あ、入り口が見えてきたわね」

音央がタクシーの行き先となっている目の前に見えてきた『境山ワンダーパーク』の入り口を指差した。
その入り口を見ながら、俺と一之江は目配せをして、頷き合った。
これから向かう先でどんな危険や困難があろうと。

______少なくとも、この明るく朗らかな少女は「物語」に巻き込まないようにしよう、と。
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