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101番目の舶ィ語
第三話。富士蔵村の噂 後編
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なロアとは戦いたくないが、いざとなったら戦るしかないだろう。
狂った殺人犯はともかく、金色の獣は俺ならどうにか出来る……と思うからね。

「その村人を皆んな殺してしまった殺人鬼や凶暴な獣が、次の犠牲者を求めて町まで降りて来るから、夜は家を出ちゃダメよ、みたいな事を言われたわ」

最初は単なる『遅くなるまで遊んじゃダメ』というだけの話。
それが、1人の少女が行方不明になってからはその噂に尾ひれがつきまくって『神隠し』が起きた事になってしまった。
しかも、その行方不明になった山には元々村があったわけで。
その村も、面白おかしく『大量虐殺』や『金色の獣が村人を襲った』噂がある村なんて言われてしまっていた。
そう考えると……今回俺達が向かうワンダーパークで『神隠し』に遭う……。

「可能性は随分高いわけか……」

「ん?」

「ああ、いや。俺や一之江が知っている噂で『人喰い村』っていうのがあってね。
それなのかも……なんて思ったんだよ」

「あ、確かにそう言われてたわ。『富士蔵村』!入ったら食べられちゃうぞー、って」

ビンゴかよ。
つまり、今ワンダーパークに行って『神隠し』に遭うと、もれなく入ったら二度と出てくる事の出来ない『人喰い村』に入ってしまう、と。
そしてその『人喰い村』には、大量虐殺者や獣がいて、その被害者になるかもしれない。
そんな噂が成り立ってしまっているようだ。
中に入った人が殺されてしまっているなら『帰って来れない』村になるわけだよね。

「念のため言ってみますが、日を改めませんか」

そんな提案を一之江は音央にしていた。
その真摯な瞳を向ける彼女を見て……音央は優しく微笑んだ。

「ごめんなさい、一之江さん。ちょっと怖がらせちゃったわね。大丈夫大丈夫、子供騙しの噂だから」

まるで安心させるように、一之江の小さな手を両手で握りながら音央は声をかける。
一之江はどこか困ったように、手をそのまま、視線を上に向けていた。

……子供騙しの噂。

それが一番怖い、というのを音央は知らない。
そう、最初からそんな噂が実現するなんて誰も思っていないんだ。
だが、俺と一之江は、少なくとも『日没と同時』にワンダーパークに入ってしまうと、その村に突入できてしまう事を知っている。

「殺人鬼とか、獣とか、神隠しやオバケなんて、本当にいないわよっ」

目の前にいるからねー!

それは妙に実感のこもった言葉だったのだが……リアルオバケである一之江を安心させるために伝えているのを見ていると、なんとも不思議な気分になった。

「まぁ、『ワンダーパークの怖い噂はあくまで噂で、実際は何もありませんでした』っていうのを証明すればいいんだよね?」

「うん、そういう事。あたしらが実
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