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101番目の舶ィ語
第三話。富士蔵村の噂 後編
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のは、自分と楽しく遊んでくれる女の子に弱いし、音央はその頃からサバサバして話し易かったに違いないからね。きっとモテモテだっただろう。

「きっと元気いっぱいの可愛いらしい女の子だったんだろうね!
それはそうと、ワンダーパーク辺りの噂って、昔っからあったみたいだけど音央は知っているかい?
例えば、夕暮れ時までワンダーパークで遊んでいると、なんとか村に連れて行かれて帰って来れないぞー、とか」

「あー……その話ね……」

解り易いくらい顔をしかめる音央。
なんだかバツが悪い、みたいな表情を浮かべてから……ま、いっかと表情を緩めた。

「小さい頃、ウチの小学校でよく出回った噂なのよ。暗くなるまでワンダーパークの近くで遊んでいると『富士蔵村』に連れて行かれて、帰って来られなくなるって」

やっぱり言葉に苦味を含みながら、音央は思い出すように語り始めた。

「ワンダーパークってウチらの学校から結構近いからさ。自転車で行って、金網から忍び込んで、中で勝手に遊ぶっていうのが流行っていたのよ。だから、それを危惧した親とか先生とかが、そういう怖い噂を作って流したっていうわけ」

ヤレヤレ、と首を振る音央。
確かにそう言われると、それくらいの噂ならよく聞く話だと思う。
でも……。

「では、作り話なのですか?」

そう、それが単なる作り話なら何の問題はないんだ。
問題なのは作り話ではない、場合だからね。

「んまあ……とある女の子が、一度あの辺りで一晩だけ行方不明になってね。ま、結局すぐ次の日に帰って来たんだけど……それでまた、すっごい噂が広がっちゃって……」

やっぱりバツが悪そうに語る音央。
この話をしたくないわけではないが、話しづらい、みたいな雰囲気を感じる。
もしかしてこの噂そのものに、音央も関わっているのかな?

「まぁ、うん……で、あそこにあるって言われている村の話だったけ?」

「うん。やっぱりそんな村はないのかな?」

「ううん。元々あのワンダーパークの辺りには、ずーっと前に『富士蔵村』っていうのがあったらしいけどね。小学校の時に、社会か何かの時間で習ったもの」

「ふむ……実際にあったのは確かなのですね」

一之江は情報収集モードになっていた。
これなら俺が質問しなくても上手くやってくれそうだな。任せよう。

「うん、実際にあったみたい。でも境山なんて山奥にあっても不便でしょ?
人々も皆んな、夜霞市とか月隠市に流れていっちゃって、廃村になったて話よ。
んで、その村だった辺りにワンダーパークを作ったらしいわ」

「ああ、なるほど。元々村があった場所なら、道路とかの交通の便はある程度整備されていたでしょうしね」

元々村に通じる為に作られ、整備された道路なんかをそのま
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