プロローグ
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晴れているにもかかわらず降り積もる雪に凍えながら足早に帰路につく。
まだまだコートは手放せなせず、近くのコンビニへ出掛けるのにも身を震わせる始末である。
「ただいま」
肩に降り積もった雪を玄関で払いながら家の中に入る。
「おかえり。お昼ご飯出来てるわよ」
湿ったコートをハンガーに掛けながら昼飯は何かなとキッチンへと立った母さんの方へ思いを馳せてみる。
外は寒かったから温かいうどんか蕎麦が食べたいなぁ。
「ねぇ、なんでこんなに豪華なの?」
「それねぇ、叔母さんから貰ったのよ」
そして思いを馳せた結果、俺の目の前に広がっていたのは思いがけない光景だった。
それは寿司。しかもそこらのスーパーで買ったような598円のような総菜寿司じゃない。
一貫だけで4桁は下らないような高級店の寿司だ。見ただけでわかる。
「ふーん、叔母さんがねぇ」
俺は目の前に出された寿司をしみじみと眺める。
これは料理が出来ているとは言わないのではないだろうか?そんなことを考えながら目の前にあった中トロを口の中へ放り込む。
「食べたわね」
「え?」
母さんが笑顔で「あー食べちゃったかー。そうかそうか」などと呟いている。
もう恐怖しか感じられない。
「なんで叔母さんからお寿司もらったの?」
「知りたい?」
「……知りたくない」
「え?ホントにそれで良いの!?」
知ってしまったら後には引けない気がして反射的に知りたくないと答えてしまったが、キャーという声を上げながら赤面して顔を隠している母さんを見て心が逸る。
「嘘です教えてくださいお願いします」
「たいしたことじゃないわよ。叔母さんが子供を預かってくれって。食べたのアンタだからアンタが面倒みるのよ」
良かった。そんなことか。別に子供は嫌いじゃない。それくらいならお安いご用だ。
安心して箸を進める。うん、雲丹も上手い。
「俺、全然会った記憶ないけど」
「それはアンタが親戚の集まりに顔を出さないでグータラ寝てばっかりいるからでしょ」
「大学生は色々と考えることがあるんだよ。」
ぞんざいに言い放ちながらイクラを頬張る。一粒一粒がぷちぷちと口の中ではじけてとうさん新鮮な味が口に広がる。
「で、いつ預かんの?あとお茶入れて」
「1月18日から一週間」
ポットで急須にお茶を二人分注ぎながら母さんが答える。
一週間?俺が?全く面識の無い子供と?
まぁ、別に俺が面倒見ろって言っても母さんも父さんも居る訳だし何とか……。
「ほら、私とお父さんはその日オーストラリアに旅行中じゃない。だからなんとかコレでって頼まれても預かれなかったのよ。お母さんも叔母さんも助かるわー」
「……は?」
いやいやいや、ちょっと待ってよ。っ
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