第14話 Tempest Turn 5
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そう、だったのだ。
「なっ??」
ふるった拳が空を切る。
その動きが、速度が、一気に加速したのである。
今までのものとは比ではない。
一瞬だったが、その一瞬。瞬間的に加速した。
「このッ??」
空を切った刃とは逆の拳を振り抜いたが、またしても外れる。
一陣の風が吹き抜け、背後を振り返るが、遅かった。
そこには、グラディウスを大きく振りかぶったカズトがいたのだ。
「お返し…だ??」
その刃がイングリットを襲い、ディバイントラストを交差させて防ぐが、防ぎきれずによろける。
そこに、カズトの回し蹴りが炸裂し、
ゴロゴロと転がっていく。
「きっさま…………」
ギロリとカズトを睨みつけるが、彼は意にも返さない。
ただ、ニヤリと笑みを浮かべるだけだ。
「何故、アクセルを使える……」
イングリットが口にする。その口調は、どこか忌々しげだ。
「おいおい、じゃあ逆に聞くぜ?」
グラディウスを握り直し、構える。
「いつから俺が、アクセルを使えないって錯覚していた?」
自信満々に言い切った。
「ほざくなよ。一年生。」
「喚くなよ。人間が小さく見えるぞ。」
その憎らしげな目つきが一層恐ろしいものになるが、すぐにそれは余裕の表情に変わる。
理由は特出したものではない。
ただ単に……
「イングリット先輩??」
パンドラの持つ最強の武器がやってきてしまっただけの話だ。
「レオ。さっそくで悪いが、イレインバーセットだ。」
「っ!はい!」
ゾクリと、カズトの背中を悪寒が支配した。これは、先日感じた感覚。そう。
フリージングの前兆だ。
「うっは……まじでヤバイかも……」
自嘲気味に、引きつったように笑う。
確かに、カズトはフリージングを自力で解くことができる。
だが、それができたのはカンナヅキのリミッターの質が、イングリットのリミッターに比べて、極端に低かったからだ。
ではどれくらいかと言えば、
カンナヅキのリミッターは3人がかりでサテライザーとカズトを止めた。
しかしそれは、3人がかりでやっと。のことである。
「フリージング!」
地面を伝って体が動かなくなりそうになるのを、アクセルを使って回避する。
「遅いぞ。一年生。」
イングリットが迫り来る。拳を防ぐが、その速度は先ほどの比ではない。
ーいや、俺が遅いんだ!
しかも、おそらくイングリットはアクセルを使っている。
それに引き換え、カズトにはフリージングによる負荷がかかってしまっているのだ。
これで追いつかれないわけがない。
「終わりだな。」
その時、イングリットの姿が“4人”に増えた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ