ゆっくりと考えてみて
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客と、その実況者
そんなんでも、お前は悲しいのか――
呆然と呟かれる言葉に、コンはただ怒りしか覚えなかった
イカリのもとへ行って縋りつきたい
オレのせいで死なせてごめんなさいと謝りたい
おぼろげに考えていた行動は怒りにかき消されていく
どうして分かってくれないのか
この男も、己と同じだと言ったのに
「お前もオレだろうが!
なんで分かんないんだよ!」
髪を振り乱して叫ぶ姿に、狂い巫子は初めて視線を逸らした
ゆっくりと瞼を閉じて、そうして小声で呟いた
そうだ
彼は理解していたのだ
違うということを
――
この広い世界にあなたと同じ人間はいません
――
淡々と呟かれる言葉が響き渡る
ほんの少しだけ、チャクラが混じった言葉が風に乗って広がってゆく
「あ?」
意味がわからないと、目を見開くコンを尻目に彼は呟き続ける
――
過去にもいなかったし、未来にもいないのです
あなたは何かの必要を満たすためにここに連れてこられたのです
――
「何なんだよ・・・」
殴る手を休め、首を掴んで無理やり目線を合わせた
少しずつ目を逸らしながら彼は呟き続けた
呪術で空を作り上げていた空間がかき消え、地下神殿が露わとなった
ただの祭壇となって、燭台が2人を照らし出す
――あぁ嫌だ厭だ
結局お前はオレとは違ったわけだ
そうだ、お前とオレは別の人間だ
分かるわけがなかったんだ、やり直せるはずがない――
理解していた
だけどやり直したかった
しかし、もうやり直すことは出来ないと理解した
それでも、何かに縋りたかった
――ペインが死んだ時、オレは悲しくなかった
あの世界で唯一信頼できる人だったのに、まるで息子のように扱ってくれたというのに
小南が倒された時も、オレは泣かなかった、いや、泣けなかった
涙一つ、流さなかった
お前は、泣いてる
お前はオレじゃない オレは、お前じゃない
そうだろ、鶸茶
オレ達はやり直せないんだ――
金色の光の粒子となって徐々に消えていく
コンがそれに気付き呪術の一種と疑って彼から離れた時には、もう足は消えていた
首元まで消えかかったとき、巫子は初めて”コン”を見た
――
あなたは何かの必要を満たすためにここに連れてこられたのです
このことについて、ゆっくりと考えてみて下さい
このことについて、ゆっくりと考えてみt
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