過去編:episode1
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じめまして。月光館学園 高等科2年 荒垣 真次郎さん。
私はタカヤという者です。こちらはジン。それにチドリ」
「............」
「世間からは『ストレガ』と呼ばれています。復讐業を生業にしているのですが、その“世間”とやらに我々は関心が無い。...貴方が、情報を集めてはくれませんか?」
タカヤと名乗る男は、感情を読み取らせない無表情な声で話をどんどん進めていく。勝手に話を進めるな。お前たちで情報くらい探せばいいだろ。俺を巻き込むな。
「...これが報酬です」
「んだ、そりゃあ...」
「我々の力...『ペルソナ』を抑制する薬ですよ」
タカヤが軽く振って見せつけるのは、カプセルが入った小さなケース。それが、ペルソナを抑える薬...だと!?
「貴方が必要としている物だと伺いましてね」
「誰がんなこと...」
「彼ですよ。貴方が見えている《死神》。我々にも彼の姿が見えていますのでね...。彼から、貴方がこの薬を必要としていると告げられたのです」
死神の様子を見てみるが、悪びれることも挙動不審になることも無く、ただ当然のことのようにその場にいる。
どういうつもりだ? 俺は、こんなこと頼んでねェぞ。
「死神......」
『俺は、役割りを果たしただけだ』
役割り...? なんだそりゃ。俺とこいつらを引き合わせることか?
それとも、俺に薬の存在を報せるためか?
「我々に協力してくださるのなら、定期的にこの薬を差し上げましょう。...どうしますか?」
『分岐点だ』
死神の声の後、景色が一瞬にして変化する。あの白い部屋だ。
椅子のような物に座らされ、目の前にはいつもと違う雰囲気の死神が佇んでいる。白い空間のせいか、死神の真っ黒な目が普段より一層冷たく見えた。
『お前の命を懸けた選択肢を与える。どれを選んでも、お前の寿命は減る。では、選択肢だ。“受け取る”か“受け取らない”か』
「受け取ったら、どうなる?」
『“受け取る”ならば、お前の寿命は減る。あの薬には強い副作用があるからな。服用する度に少しずつ、少しずつ、だが確実に死に近付く。いずれは、以前の仲間たちと敵対することになる。逆に“受け取らない”ならば、お前の寿命は減るが、1年もしない内に再びシャドウを追い回す生活に戻る』
「............」
死神の言っていることが本当なのかは分からない。だが、この部屋で選択肢を啓示するこいつから目が離せない。ちょっとした動作の時も、沈黙の後の声にさえ、ドキリと心臓が跳ね上がる。目の前の死神を畏れている俺がいた。
俺の答えを待つ間でも、死神の雰囲気
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