Interview13 アイリス・インフェルノ
「さすが記者のタマゴ」
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変わらないものね。磯の香りと生ぬるい風。レアバードで空を翔けた日々を思い出すわね。ふふ」
それを聞いて思い出すのは、夢で見せられた、人間だった頃のイリス。
小さなイリスが暮らしていた文明は、現代のエレンピオスを超えたテクノロジーで成立していたが、海を含む自然の荒廃と引き換えの発展だった。
(黒匣で精霊を殺すのが当然だった世界で、たった一人、尊師だけはそれをオカシイって言った。当時の人たちからしたら、さぞ変人に映っただろうな。イリスは尊師の主張の内容より、尊師その人に心酔してたから変に思わなかったけど。そういえばジュードも黒匣をやめようって呼びかけてるから、ジュードは現代のクルスニクってとこか)
2000年前のエレンピオスと異世界だったリーゼ・マクシアの奇縁に、運命の妙とはこのことかと内心感心するルドガーであった。
「ねえイリス。イリスが封印されたのは1000年前なのよね?」
「ええ、レイア」
「じゃあ、封印される前の1000年はどんなふうに過ごしてたの?」
「そうねえ――」
レイアはメモ帳にハートモチーフのペンをセットしていつでもOK状態。こういう時のレイアの生き生きとした表情が、ルドガーは好きだった。
「毎日毎日、原初の三霊にどう報復するかばかり考えていたわ。どうすれば奴らにミラさまや同胞たちの苦痛を思い知らせてやれるか。そうして実際にクロノスとエンカウントしては戦って、ボロクズにされて、身を潜めて傷の癒えるのを待って、またまみえては、戦って」
ルドガーは手摺に突いたイリスの手の上に手を重ねた。ぴく、とイリスは反応したが、話を続けた。
「そんな1000年に先に飽き飽きしたのは番犬のほうだったみたいね。番犬は時空を操る力でイリスをあの地下に封印したの。それから1000年は、誰とも会わず、地上で精霊の娯楽に消費されていくクルスニクの子たちの嘆きを聴いて過ごした――」
その時のことに思いを致しているのだろう、イリスは遠くを見るような目をした。
クルスニク血統者の全てを我が子のように想うイリスのことだ。きっとクルスニクの誰かが死ぬたび、時歪の因子化するたび、クロノスに傷つけられるたび、慟哭したに違いない。そして、悲しみを憎しみに変えて、誰かがイリスを解き放ちに来るのを、ひたすら待ち続けた――
「ごめん。わたし、無神経だった」
「そんな顔しないでっ。イリスなんかの過去も記してくれるなんて、光栄に思ってるのよ? 本当よ?」
俯いたレイアの両肩に、イリスは慌てたように両手を置いた。
「イリスの過去に興味を持った者は、クルスニクの子どもたちだけだった。だから、そうじゃない貴女が、後世に伝えるために興味を持ってくれるなんて嬉しいの。だ
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