暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第ニ話。富士蔵村の噂 前編
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
俺の手を両手で握った。

(うっ、マズイ……ヒスる??)

「ごめんね。皆んなが怖がっているから、何もないよーって言えるように調べてくれるだけでいいの」

「うおっ、あ、はい」

先輩の温かい手が、俺の右手を握ってくる。

「モンジくん達が危ない目に遭うのは嫌なんだけど、頼りになる子がモンジくんしかいなくて……」

そして、先輩はあろうことか、俺の手を自分の胸元に寄せた!

「っっっ??」

胸に触れるか、触れないか、の位置……柔らかさを堪能出来るわけではないが、その布の先はいわゆる先輩の胸なわけで……。

「か、会長っ!」

「うにゅ?」

音央が赤くなって抗議し、そっちに先輩が体を向けた弾みで……。

むにゅ。

「っっっっっっっっっっっっ??」

(デ、デカイ?? やっぱり原子力空母級はある……って馬鹿!
何考えてんだ、俺は?? ま、マズイ……来た。ヤツがくる、ゾ)

______ドクンドクンドクドクドク。

また、なっちまった。

しかし、この感触は、凄まじい。
俺の右手は楽園に到達していた。
右手が触れた禁断の世界。そこは柔らかく、温かで、程良い弾力を持ちながら、制服越しにも伝わる心地よさをもっていて……。
女性の胸をあまり物に例えたくないが、戦艦に例えるなら、詩穂先輩、原子力空母級。音央、弩級戦艦。キリカ、戦艦。一之江、ゴムボ……。

ザクゥゥ??

「切り落とされた??」

あまりの激痛に左足が切断されたかと思ったほどだが、足はなんともなかった。
一之江はあくまで俺の右側にいる。
左足を鋭利な刃物で刺すには、かなりの高速移動が必要だ。
もしくは、あれだ。居合とか。

っていうか、あれか、一之江は胸の大きさとか気にしてるのか?
俺が痛い目に遭うのは、そういうタイミングだよな。
というか、何故解ったんだ。
一之江のロアには、相手の心を読む能力とかもあるのだろうか?
一之江なら何でもありそうで怖い。

「わっ、どうしたの?」

「ここにいると、どうやら俺の左足は殺されるみたいです」

「わっ、大変だねっ!」

先輩は大慌てで俺の手を離して、肩に触れてくれた。

「それじゃあ、行ってらっしゃいだね、モンジくん?」

「はい、一番怖いのは都市伝説よりも身近にある、というのがよくわかりましたよ」

「ふぇ、そうなの?」

そうなんです。

一之江は素知らぬ顔をし続けている。
音央はそんな俺達の様子に気がついたのか、苦笑いをしていた。

「本当に気をつけてね?」

「大丈夫ですよ」

「まあ、お任せください。少なくとも音央さんは無事に戻します」

俺が席を立つと、一之江も席を立ち上がった。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ