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101番目の舶ィ語
第ニ話。富士蔵村の噂 前編
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う、みたいなお話なの」

先輩は胸の前で指を合わせて、しょんぼりした顔をした。
俺は先輩の顔を見ようとして、ついつい視線がその胸元にいってしまった。

(うっ、で、デカイ……。おそらくメーヤ級の大きさだぞ。
軍艦で表すなら、原子力空母級のたわわな胸だ。弩級戦艦胸を持つ、音央を上回っているな)

そんな事を思ったその時だった。
突然、左足に激痛が走った。

「痛だっ??」

「どうしたのよ、いきなり変な声をあげて」

「いや、今、左足を踏まれたみたいな激痛が……」

やったとしたら、一之江だろうが……しかし一之江は俺の右側に座っている。
犯行は不可能だ。

「踏まれた?」

「……何でもない」

気のせい……だよな?

「つまり、俺達でその『神隠し』の調査をして欲しい、と。そういう事ですね?」

痛みに耐えながら先輩に尋ねると、音央が自分を指差し……。

「モンジとあたしでね。一之江さんも色々詳しいみたいだから、いてくれればそりゃ心強いけど。ちょっと今からワンダーパークに様子を見に行くって感じよ」

予想通り、音央は自分で行こうとしていたな。
まあ、勝手に行かれるよりか数倍マシだけどな。

「はあー、わかった。行って、何もなかった、だから安心だよ、っていうのを広めたいんだな?」

「そーいうこと。ここからワンダーパークまでちょっと距離があるから、途中でタクシーでも拾って行かないといけないけどね。日没と同時に何かあるっていう話だし」

タクシーか。財布の中身大丈夫かな。
こっちでも金欠気味だからな。

「私のよく利用するタクシーがありますので、それを使いましょう」

一之江が小さく手を挙げて提案してくれた。
一之江が利用するタクシー……また、あのタクシーか。

「あれ、いいの、一之江さん?」

例のタクシーの事を知らない音央が不思議そうに聞く。

「ええ。問題ありません。私の家はご覧の通りお金持ちです」

未だに蒼青学園(そうせい)の制服を着ている一之江はそう告げた。
裕福なご家庭の御子息、御令嬢が通うことで有名な学園のその制服は、この上ない説得力を持っている。
因みに、何で未だに蒼青学園の制服を着ているのか、一之江に尋ねてみたところ。
蒼青学園の制服を1人だけ着ていることで、周りに『噂されやすくなるから』だそうだ。
謎の転入生という立場は様々な憶測を呼ぶらしく、それが広がり『月隠のメリーズドールってもしかして……』のように広がれば、その存在は強固になる、ようだ。
適度に噂されれば存在性をアピールできるからな。


「っていうわけなので、俺達は早速行ってみます」

俺がそう言うと、詩穂先輩はトトトッ、と小走りに走ってきて。
ぎゅっ、と
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