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101番目の舶ィ語
第ニ話。富士蔵村の噂 前編
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♪」

語尾にハートマークが付きそうなくらい情感たっぷりに俺の名前を呼ぶ先輩。
思わずその姿にドキっとしてしまう。
途端、身体の中心に血流が集まるあの感覚が再びしてきた。

(くっ、静まれ! 俺の血流!
こんな所でヒステリアモードになってみろ! 大惨事を引き起こすぞ……耐えろ、俺!)

「ど、ドキドキがヤバイので、モンジでいいです、ハイ」

「あは、了解、モンジくんっ」

この世界でも俺は年上に弱いみたいだ。
生徒会室に来たのは結局、俺と一之江だけだ。
キリカはアランが暮らす町に、聞き込みなどの調査をしに向かった。
1人で大丈夫なのかを尋ねたが、『こういうフィールドワークは任せて!』と楽しそうに返事をしていた。
アランも誘ってみたが、彼奴は怖がって『僕は怖い目に遭いたくない!』と、きっぱり断った。
きっぱり言い切れるあの態度が羨ましい。
幼少時代の親の教育が行き届いているようで安心した。
まあ、俺だって出来れば厄介事や怖い目には遭いたくないのだが、『主人公』という存在である以上、避けては通れない。

「モンジと一之江さんだけなのね。キリカちゃんは?」

俺や一之江に座るように促しながら音央が不思議そうな顔をした。
他の生徒会メンバーは来てないようで、俺達は適当な席に座った。

「キリカは情報収集が得意なんだ。だから別行動で調べてくれてるんだ。
それとモンジって言うな!」

「ふーん、役割分担があるのね」

文句に対してはさらりとスルーしやがった。
しげしげと腕を組んで俺達を見る音央。
無理もない、一之江が転入して来てからまだ少ししか経っていないからな。
別に同じ部活でも同好会に入っているわけではない。
それなのに、チームワークみたいなものがあるのが不思議なんだろう。
だが、一緒に遊んだ事のある先輩はごくごく自然に受け止めてくれた。
きっと前回の頼み事を果たした件でそれなりの信頼を寄せて貰えているのだろう。

「今日はモンジくんとみずみずが調べに行ってくれるの?」

会長席から身を乗り出すようにして、眉を寄せて心配そうに言ってくる先輩。

「ええ。まあ、はい」

詩穂先輩は、座っていた椅子から立ち上がった。

「実はワンダーパークで神隠しになっちゃう、っていう噂が学校内で流れててね」

そして、背後にあったホワイトボード、そこに書かれていた『ワンダーパークで神隠し!』という表題と、そこについている矢印の先にある『超怖い!』という文字の前に立った。
まるでその文字を背に隠すように。
うん、先輩が怖がっている、というのは確かなようだな。

「その噂ならちらっと聞きました」

昼休みに調べたばかりだからな。

「日没と同時に入ると、神隠しに遭っちゃ
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