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101番目の舶ィ語
第ニ話。富士蔵村の噂 前編
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見ているだけで満足してしまったのだ!」

自信満々に語るアラン。
つまり、チキンな性格だから、美少女に話しかける甲斐性はなかった、って事だな。
今でこそキリカや一之江に話しかけているが、それは俺が近くにいるからであって、アラン単独だと足踏みしてしまうという意味だな。
顔はいいのに……残念なヤツだな。

「僕が出せるのものだとこんなモンかなあ」

アランはまだ何かを考えている。
多分、そういう親のいいつけを守って、のびのびと育ってきたんだな。
そんな事を考えていると______
キリカがアランに向かって、左手で髪を抑えながらウインクしていた。

「そうなんだ、いっぱい出してくれたね、アランくん!」

あっ、コラ! そんな風に言ったら……。

「ぶふっ!」

アランが再び轟沈した。
キリカを見るとその顔がニンマリしている事から、ああ、これはわざとだ、と理解できた。
この魔女っ子、マジ恐ろしい子??

「ん?」

「…………」

不意に一之江の方を見ると彼女は、箸を止めてじっと虚空を見つめていた。
______何か考え事をしているのかな?

レキみたいに風と交信とか、してないよな……。

その難しそうな顔を見つめていると、俺の中で一抹の不安が湧き起こった。











2010年6月1日午後16時50分。 夜坂学園生徒会室。

「失礼します!」

放課後になり、俺達は、詩穂先輩と音央がいるであろう生徒会室のドアをノックした。

「はーい、入っていいよん♪」

ガラッとドアを開けると、そこには我が学園の生徒会長、七里詩穂先輩がいつものように、ニャパーという笑顔で待ち構えていた。
その横には、気が強そうな顔をした音央が立っている。

「あはっ、いらっしゃい、モンジくん! みずみず!」

「うん、いらっしゃい」

「お邪魔します」

見る人全てを包み込んでくれるような笑顔の先輩と、見る人を萎縮させてしまいそうな強気な音央の視線。会長と副会長で、中々バランスの取れた2人に見えた。

「……やはり、みずみず、って言いにづらくありませんか?」

みずみずこと、一之江瑞江は先輩に会うたびにそう抗議している。

「うふふ! そこがチャームポイントだよ♪」

「そうだぞ、みずみず」

「殺しますよモザイク男」

「人をいかがわしいもののように呼ぶな!」

「はいはい」

ヒステリアモードがすでに解けている俺は一之江に抗議したが、一之江は澄まし顔で受け流しやがった。反論したいが言うだけ無駄なので先輩に話しかける。

「そして、ついでに言うと俺の名前は一文字疾風です、先輩」

「うふ。いらっしゃい、疾風……
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