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101番目の舶ィ語
第ニ話。富士蔵村の噂 前編
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キリカが屈託なく笑ってくれたので、アランと俺はそれでいいか、とお互い納得した。
美少女が笑ってくれればいい。
それがヒステリアモードの俺とアランの共通認識だ。

「で、アランくん。どんな噂だったの?」

「えーと……そうだな」

アランは視線をうろつかせた。
こいつは外見こそアメリカとかイギリスの人だが、生まれも育ちもこの街なので、幼い頃の記憶は、この街での記憶なのだ。

「小さな頃は、夕暮れ時にワンダーパークで遊んでいると、富士蔵に連れて行かれて帰って来れないぞー、って言われてたんだよ」

一之江の眉毛がピクッと一瞬だけ反応する。
しかし、食べるテンポは一切変わらない。
キリカはキリカで、一瞬だけDフォンをしまった胸元に手が触れていた。
2人が反応したのも、無理はない。

______今の話だけでも、かなり符号は一致していたからね。

「でも小さい頃はさ。実際あの辺りに村なんかないから、よくある母さんとか先生達の『夜まで遊んでいると怖いよ』系の話だと思ってたわけよ。でもなんとなーくおっかないから、その時間には近寄らなかったんだ」

アランは昔を懐かしむかのようにそう告げる。
なるほど。
そういう意味では、その噂はきちんと子供達を守っているものだったんだな。

「ねえ、アランくん。他にはその村のお話、なんかないの?」

「キリカさんが求めるなら、僕は何だって出しちゃいますよ」

「うんうん、いっぱい出してねー」

「ぶふっ」

アランが撃沈した。
鼻を押さえて蹲った。
キリカの言葉はアランには刺激が強すぎたようだ。

「ん?」

キリカは解っているのか、解っていないのか、いつものようにニンマリしている。

……小悪魔的な魔女の本領発揮な場面だった。

「ほらテイッシュだ、アラン」

「サンキュー、相棒」

とりあえずテイッシュをくれてやると、鼻に詰めて礼を言うアラン。
しかしイケメン外国人が鼻にテイッシュを詰めている姿は、いかにもシュールな光景だな。

「その村は、えーと、なんだっけな。小学生の頃は色々噂があったんだけどなあ……」

「そうなのか?」

「うむ、同じ小学校のヤツなら僕より詳しいかもしれん」

「誰がいるんだ?」

あいにく、アラン以外に境山育ちの知り合いに心当たりはない。
なのでアランに他に知っている人を尋ねると意外な人物の名前が挙がった。

「お前の知り合いだと、音央たんが丁度同じ小学校だぜ」

「アランと音央は知り合いだったのか」

「フッ、僕はクラスが一緒になった事はないから『隣りのクラスの可愛い子』止まりで面識などない、しかも、どんどん可愛いく、スタイルも凄い事になっていったからな。
僕は遠くから
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