暁 〜小説投稿サイト〜
【腐】島国だから仕方がない。
街灯に照らされて
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は、ワインがとても似合う。

(…私と違って、日本酒は飲みませんよね…)

 そう思っていると、ふと、そのパッケージをつい最近見たことに気付いた。

(あ、そういえば……ポチ君がおやつ食べていた時、アーサーさんの荷物のそばにこのチーズ置いてありましたよね)

 菊は肝心なものを買おうと、ヨーグルトの棚へと移動した。

「あれっ、ない…」

 棚にはちょうど、目当てのヨーグルトのスペースだけが空いていた。思わずガクッとうな垂れる。

「よほど、あのヨーグルトに縁がないのか……仕方ない、別のものにしましょう」


 そのあと会計をする際、ほかほかの肉まんが目に入った。

(肉まん、ですか……)

「あの、それ2つください」
「申し訳ございません。残り1つしかないんですよ…」
「じゃあ、それを」

 菊は肉まんを受け取ると、店をあとにした。


「あ……」

 先に店を出たのでてっきり帰ったのだと思っていたアーサーが、壁に寄りかかって菊を待っていた。

「……行くぞ」

 そう言うと彼は言い終わる前に歩き出す。菊は小走りにアーサーに追いつくと、そっと隣に並んだ。

「あの……これ、どうぞ」

 先ほど買った肉まんの袋を差し出す菊。

「…なんだ?」

 アーサーが少し目を見開いて菊を見下ろす。

「良かったら食べてください。肉まんなのですが…」
「…俺にか?」
「はい。お礼です……待っていてくださったので」

 少しうつむいて話す菊の顔は、アーサーには見えない。

「すみません。こんなものですけれど」

 するとアーサーはスッと顔を逸らす。視線は地面のままでも、気配で分かった。

「…別に、礼が欲しくて…待ってたわけじゃない」

 あとの方は声が小さくてよく聞こえなかった。

「……苦手でしたか? 肉まん」
「いや、嫌いじゃないが…」
「そうなんですね」
「ああ、前にも1度食べたことがある。好きだ」

 アーサーの口から『好き』という単語が出てきただけで、どきっとなった菊は、おかしくなって笑ってしまった。そんな菊を見て、アーサーは少し心外そうな顔をする。

「急に笑い出すなよ。怖いだろ?」
「ごめんなさい。なんかアーサーさんって、なんでも批判するようなイメージがあったので……って、失礼ですね。私」
「それでも、肉まんは……好きだ」
「じゃあ、こういう時は遠慮しないで、ありがたく受け取っておくものですよ」

 菊はレジ袋をやや強引にアーサーに押しつけた。
 すると驚いたような顔をしたのち、その顔がフッと笑みを漏らす。

「わかった…お前には敵わないな。ありがたく、受け取っておく」

 その笑顔が、いつにも増してとても自
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ