アイングラッド編
SAO編
《圏内事件》6
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
吹き、ヨルコさんの背に流れる髪をなびかせた。見えたのは投げ短剣の柄。刀身はまるごと彼女の背に刺さっていた。
「あっ……!」
アスナの悲鳴じみた喘ぎ声を漏らしたと同時にキリトが飛び出す。
「待てッお前も狙われるぞ!!」
キリトは俺の制止を振り切り、ヨルコさんの体を引き戻そうとするが、わずかにとどかず外へ落下していった。
俺も剣を抜きつつ窓に駆け寄り、そして見た。宿屋から2ブロック離れた、同じ高さの建物の屋根。漆黒のフーデッドローブに包まれた人影。
「野郎っ……!!」
「待てつってんだろ!!」
完全に犯人に神経がいってるキリトはまたもや飛び出して行った。
「ちっ……アスナ、暫く頼む!!」
「2人とも、だめよ!」
アスナが制止の声をあげるが、キリト1人では数倍心配だ。
敏捷値では圧倒的に勝っている筈の俺達の前方を駆ける黒衣の暗殺者は次々と逃走ルートを変えて俺達を巻こうとする。
キリトがピックを投げて隙を誘うがそれはコードによって弾かれる。
(恐ろしく冷静だ……やりにくいな)
距離が縮まらないまま、やがて暗殺者はローブから転移結晶を取り出す。
転移先を聞き取ろうとしたその瞬間ーーー
リーン、ゴーン……
「くそっ!?」
時刻を知らせる鐘の音に紛れてやつは逃げていった……。
宿屋まで戻り、投げ短剣を回収した。それは1本目と同じ逆棘の意匠で造られていた。
(怒ってるだろうなぁ……)
宿の2階に上がり、ドアを開けると仁王の表情をしたフェンサーさんがいらっしゃった。
「ばかっ、無茶しないでよ!」
「「ごめんなさい……」」
「……それで……どうなったの?」
「逃げられた。人相も性別も全くわからなかった。ただ、極めて冷静なやつだったな。まあ……あれがグリムロックなら男だろう」
「……違う」
声を発したのはシュミット。ソファーの上でカチャカチャと金属の鎧を鳴らしながら震えていた。
「……屋根の上にいた黒ローブはグリムロックじゃない。グリムはもっと背が高かった。それに……あのローブはリーダーのものだ。彼女はあのローブを着て指輪を売りに行ったんだ……さっきのあれはリーダーの幽霊だ……幽霊なら何でもアリだ。圏内PKぐらい楽勝だ」
ははははは、とヒステリックに笑い始めたシュミットを横目に俺は「少し出てくる」と言って外へ出た。
再びヨルコさんが死んだ場所までやってきて考える。
さっき、ヒースクリフと話し合った結果、アンチクリミナルコードを無効化する技術は存在しないということになった。あの男が断言したからにはまず間違いないだろう。
《貫通継続ダ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ