第十四話 幼児期M
[9/9]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
来てよかったと思える。これだから、ぶらぶらするのをやめられない。
それに今日はいい気分転換になった。久しぶりにこんなにも騒いだよ。……なんだか気持ち的にも少しすっきりしたし。
「アリシア」
「なに?」
「ありがとな」
「え、なんで?」
なんとなく、と俺は笑って答えを返す。俺からのお礼の言葉に不思議そうにしながらも、アリシアはこくんと受け止めてくれた。その後妹は、石を持っている方とは逆の手を口元に持っていく。この仕草は、妹が何かを考え込む時によく出てくる癖である。
どうしたのか、と俺は思ったが、妹はすぐに手を下ろし、俺ににっこりと笑みを見せた。
「お兄ちゃんもありがとう」
「え?」
「なんとなく!」
俺の真似をしながら、アリシアも楽しそうに笑った。そんなやり取りに、最後はみんなでおかしくなって笑ってしまった。帰ろう、と俺に差し出された手。それに返事をしながら俺も手を伸ばし、その手を握り返した。
夕日が俺たちを包む中、静かに羊の鳴く声が聞こえた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ