第十四話 幼児期M
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
アリシアは俺の注意に大きな声で返事をして、早速行動を開始した。リニスもそれについていきながら、楽しそうにしている。俺は2人を見送り、先ほどから静かになっていたコーラルへと向き合った。
「えっと、コーラル」
『ますたー、僕も準備してきます。デバイスにもお出かけするときに、実はいろいろ支度があったりするのですよ』
「……ありがとう」
『はいはい』
コーラルはふわふわと飛んで、リビングから離れていった。気を使わせてしまったみたいだ。コーラルのこういうところは本当に助かる。俺が触れてほしくないことを察して、動いてくれるところがある。心配掛けさせちゃったし、俺も気をつけなくちゃいけない。
でも正直、俺自身でも疑問だらけだ。もしコーラルに聴かれていても、どう答えればいいのかもわからなかったと思う。
「もう……春なんだよな…」
俺の呟いた言葉が、頭の中で反芻する。そんな考え事をしながら、俺もお出かけの準備はしておく。
これは俺だけが知っている分岐点。駆動炉に視線を向けながら、俺はさっきのことを思い出す。まだ大丈夫という考え方。平和ボケしていた? あるかもしれないが、そういう感じでもなかった。
なんといえばいいんだろう、この感覚。まるで俺とは別に、俺の中の何かが答えを出していた感じだ。それを俺は自分の考えだと思い込んでいた?
俺は事故がいつ起きるのかわからない。だから警戒はしている。けど、それなのに何故か俺は漠然とまだ大丈夫という気持ちがあるのだ。まだ事故は起きないような気がすると、違和感なく。
そのせいか、さっきみたいにふと力を抜いてしまう時があった。もういつ事故が起きてもおかしくないというのにだ。その理由を、自分でもなんと表現したらいいのかわからない。
近い感覚でいうと、『事故は確実に起きる』という理由もないのに確信していたあの時と似ている気がする。『今年は事故が起きない』と考察だけでそのまま終わらせていた時もあった。それと、『アリシアと星空を見る約束をした』時にも、そんな感覚があったような気もする。
今思うと不思議だ。何故必ず事故が起きると言えるのだろう。希望的観測とはいえ、起きない可能性がないわけでもないのに。それに、事故が早まる可能性だってある。俺は自分の存在がイレギュラーだってわかっているのだから。それを探ってみても、やはりなんとなくとしか言えない。なんでだ?
こんな理由もわからない、信用していいのかもわからないような「勘」に似た感覚。俺は前世でそんなに勘のいい人間ではなかった。というかそんなに勘がよかったら、前世で死んでなかった気がする。転生してから身につけたものなのか?
『転生することはできる。願いも世界観を壊さないなら、ある程度聴
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ