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少女1人>リリカルマジカル
第十四話 幼児期M
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だし。

 しかし、この陽気な温かさは俺たちの思考能力を絶対吸い取っている。跳ね返す気力もわかないせいか、我が家にスライムが3体出来上がっちゃったんだしな。もうとにかく今はぐだぁー、としたくて仕方がない。春が俺のシリアス思考を攻撃してくるー。

「悲しいけどこれ、五月病なのよね」
『それでいいのか、5歳児』
「あれ、キャストも実は揃ってるんじゃね? これは『テスタロッサ家が五月病にかかったようです』がいけるかも。ツンデレ要因もちゃんといるし」
『本当に希望は捨てませんよね…』

 スライムになっても、俺の口はなんだかんだと回るようです。


 いや、だってさ。俺軍人でもないし、極々普通の一般人だよ。うん、一般人。頑張ることはするけど、無理はできねぇよ。だって俺が体調崩したら、家族に心配かけさせちまう。

 なによりもずっと緊張しぱなっしだと、それこそ消耗も激しいし、あまり効率的ではない。たまには休むことも必要だ。まだ大丈夫だろうし、休める時に休むことは大切なことなんだから。身体壊したり、精神的に参っちゃう方が本末転倒だよね。だから特に問題は―――


「―――えっ」
『ますたー?』

 俺はうつ伏せに転がっていた体勢から、勢いよく起き上がる。俺の突然の行動とこぼれた言葉に、不思議そうにコーラルが呼びかけてくる。だが、俺はそれに答えるよりも先に思考の海に沈む。

 俺は今何を考えた? なんで当たり前のように納得しているんだ?

 休むのはいい。体調を崩す訳にはいかないのも当然だからいい。


 だけどなんで、『まだ大丈夫』だなんて、根拠のない考えが出てくるんだ?


『どうかされたのですか?』
「あ、……大した、ことじゃない。あれだよ。あんまりごろごろしていたら、まじで床に貼りついちゃいそうだし、どっか気分転換に放浪しようかなって」
「ふえ、どっか行くの?」
「にゃー?」

 ごろごろしていたアリシア達が俺の提案に反応する。俺は2人の質問にうなずくことで返し、ゆっくりと立ち上がった。さっきの俺の返答が不自然に感じられたのか、コーラルが無言で俺の様子を見ている。

「よーし。せっかくだから、アリシアが前に行きたいって言っていた、『どうぶつのおうこく』みたいなところに連れて行ってやろう」
「えー! 本当に!?」

 さっきまでのたれアリシアから、元気が舞い戻って来たらしい。やったー、と腕をばんざいしながら嬉しそうに声をあげる。リニスもぶるぶると身体を振り、毛を舐めながらモップのようになっていた毛を整えていた。


「それじゃあ、それぞれ準備ができたら出発しようか。アリシア、帽子と水筒は忘れないようにな。お手洗いもきちんと行っておくように」
「はーい。行こう、リニス」
「なーう
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