第十四話 幼児期M
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だし。
しかし、この陽気な温かさは俺たちの思考能力を絶対吸い取っている。跳ね返す気力もわかないせいか、我が家にスライムが3体出来上がっちゃったんだしな。もうとにかく今はぐだぁー、としたくて仕方がない。春が俺のシリアス思考を攻撃してくるー。
「悲しいけどこれ、五月病なのよね」
『それでいいのか、5歳児』
「あれ、キャストも実は揃ってるんじゃね? これは『テスタロッサ家が五月病にかかったようです』がいけるかも。ツンデレ要因もちゃんといるし」
『本当に希望は捨てませんよね…』
スライムになっても、俺の口はなんだかんだと回るようです。
いや、だってさ。俺軍人でもないし、極々普通の一般人だよ。うん、一般人。頑張ることはするけど、無理はできねぇよ。だって俺が体調崩したら、家族に心配かけさせちまう。
なによりもずっと緊張しぱなっしだと、それこそ消耗も激しいし、あまり効率的ではない。たまには休むことも必要だ。まだ大丈夫だろうし、休める時に休むことは大切なことなんだから。身体壊したり、精神的に参っちゃう方が本末転倒だよね。だから特に問題は―――
「―――えっ」
『ますたー?』
俺はうつ伏せに転がっていた体勢から、勢いよく起き上がる。俺の突然の行動とこぼれた言葉に、不思議そうにコーラルが呼びかけてくる。だが、俺はそれに答えるよりも先に思考の海に沈む。
俺は今何を考えた? なんで当たり前のように納得しているんだ?
休むのはいい。体調を崩す訳にはいかないのも当然だからいい。
だけどなんで、『まだ大丈夫』だなんて、根拠のない考えが出てくるんだ?
『どうかされたのですか?』
「あ、……大した、ことじゃない。あれだよ。あんまりごろごろしていたら、まじで床に貼りついちゃいそうだし、どっか気分転換に放浪しようかなって」
「ふえ、どっか行くの?」
「にゃー?」
ごろごろしていたアリシア達が俺の提案に反応する。俺は2人の質問にうなずくことで返し、ゆっくりと立ち上がった。さっきの俺の返答が不自然に感じられたのか、コーラルが無言で俺の様子を見ている。
「よーし。せっかくだから、アリシアが前に行きたいって言っていた、『どうぶつのおうこく』みたいなところに連れて行ってやろう」
「えー! 本当に!?」
さっきまでのたれアリシアから、元気が舞い戻って来たらしい。やったー、と腕をばんざいしながら嬉しそうに声をあげる。リニスもぶるぶると身体を振り、毛を舐めながらモップのようになっていた毛を整えていた。
「それじゃあ、それぞれ準備ができたら出発しようか。アリシア、帽子と水筒は忘れないようにな。お手洗いもきちんと行っておくように」
「はーい。行こう、リニス」
「なーう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ