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リリカルってなんですか?
A's編
第三十三話 前
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たような、目が今にも閉じてしまいそうな、そんな様子がうかがえる。はた目から見ても危ないな、と思えるような様子だった。

 それに気づいたのは僕だけではなかったのだろう。なのはさん? と訝しげに声をかけるクロノさんと僕が飛び出すのがほぼ同時だっただろうか。その判断の差は、僕とクロノさんのなのはちゃんとの付き合いの長さだったのかもしれない。結果だけいえば、呆然と見送らなくて正解だった、ということだ。

 クロノさんの声に反応したのか、あるいは僕が急に動いたことに反応したのか、半分空ろな目で僕を視界に収めたなのはちゃんは、ふにゃ、と力のない笑みを浮かべた次の瞬間、糸が切られた操り人形のように全身から突然力を抜いて落ち始めた。

 地面だったなら、倒れこむだけだっただろう。だが、ここは生憎の海上だ。地面なんてものは存在せず、ただ真冬の冷たい海の中へ真っ逆さまに落ちていく。だが、なのはちゃんが現れてからすぐに飛び出したのが幸を奏したのだろう。彼女が冷たく暗い海へ落ちる前になんとか追いつくことができ、重力にひかれるままに落ちていた腕をつかむことができた。

 接触することさえできればこちらのものだ。基本的には浮遊魔法の対象となるのは触れているものだけだ。ならば、触れられた以上、なのはちゃんもその対象となる。だから、漫画のようではあるけれども、自分自身もゆっくりと上昇しながら、なのはちゃんの腕を片腕で引き上げなら、もう片方を膝の裏に回し、ちょうどお姫様だっこと言われるような体勢でなのはちゃんを支える。

 とても口に出せないことではあるが、魔法を使っていなかったら絶対無理だな、と思った。いくら僕の性別が男であっても、さすがに同じ年代の女の子をこの体勢で支えることはできない。魔法が使えて本当によかった、と思えた瞬間だった。

「よっ、と」

 ただ、魔法を使って何とか抱き上げただけでは、体勢が上手に収まりきることができなくて、一度体をゆすって整えてやる必要があった。そのため、なのはちゃんの身体を両腕の力だけでゆすったのだが、その衝撃で少しだけ意識が戻ったのか、うぅっ、と呻きながらうっすらと目を開ける。だが、焦点はあっておらず、空ろな瞳で僕を見ていた。

「………ショウくん?」

 その声は、まさか長年世界を苦しめてきた闇の書を退治した女の子にしては弱々しい声だ。むしろ、逆だろうか、退治した今だからこそ、全力を使い果たして疲れているのだろうか。だが、どちらでもいい、どこか不安げななのはちゃんの声に安心させるようにゆっくりと僕は言葉を紡ぐ。

「そうだよ、翔太だよ」

「………あはっ」

 抱きかかえているのが僕だったことに安心したのか、あるいは、意識が落ちかけた中で身体が落ちていることを自覚していたのか、わからないが、どうやら安
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