A's編
第三十三話 前
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のはある種のジレンマではある。
せめて、なのはちゃんが帰ってきたら、きちんとお礼を言おう。それが知っている人は少ないけれど、地球を救った英雄に対するせめてもの感謝の心である。
と、なのはちゃんが帰ってきた後のことをはやてちゃんと時々、相槌を打つように話すアリシアちゃんを相手にしながら考えていると、不意にエイミィさんから通信が入る。
『え? うそ………なに、この魔力反応?』
その声はずいぶんと慌てているようで、通信というよりも独り言が漏れているような感じだった。だが、信じられないような何かを見ているのは確かなようだ。状況がわからず、どのように反応していいのか分からず、戸惑う僕たち。唯一、クロノさんだけが状況を把握しないながらも的確に動いていた。
「エイミィ! どうした? 正確に報告しろっ!」
『あ、ご、ごめん。なのはちゃんが張った結界内部の魔力数値が上がってるの! しかも、これ………まずいっ! みんなっ! 揺れるから気を付けて!!』
―――え? と思う暇もなかった。
「きゃっ!」「―――っ!?」「うわっ!」
エイミィさんがそう通信を送ってきた直後に突然僕たちの身体が揺れる。その衝撃に驚いて近くにいたはやてちゃんとアリシアちゃんが僕の身体にしがみつくようにして、僕の両腕を抱き込みながら、小さく悲鳴を上げていた。子どもらしい少し体温の高い身体に触れるような感覚を意識するような暇もなく、僕自身も揺れに耐えるように踏ん張るしかない。
だが、考えてみておかしいことに気付いた。浮遊魔法で浮いている僕たちの身体が揺れるわけがない。
『っ! 小規模な時空震を確認!』
「時空震だと!? バカな………彼女は一体なにをやってるんだ!?」
ひどく驚いたようなクロノさんの声が聞こえる。どうやら、この場所で時空震というものが発生しているらしい。字面だけみれば、空間が揺れるような事象のようだ。しかし、詳しいことを問いただそうにも、おびえるはやてちゃんとアリシアちゃんにしがみつかれ、僕自身も体勢を保つ事に意識を持っていかれ、尋ねることができない。
どれだけの時間、揺れに耐えただろうか。空間が揺れるという不思議な現象のせいだろうか、幸いなことに船酔いの様に三半規管が揺れることによる気分の悪さを体感することなく、ただただ揺れに耐えるだけでよかった。もっとも、その揺れも数分もすれば慣れてしまい、騒ぐほどのものでもなかったが。
揺れが続く中、落ち着いたところでクロノさんに状況を確認したところ、どうやらなのはちゃんが隔離した空間の中で巨大な魔力を使っているらしい。それが一定の空間内に収められる限界を超えてしまったため、時空震という形で表に出てきてしまったようだ。もっとも、なのはちゃんの結界と僕た
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