A's編
第三十三話 前
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新しい情報が多すぎて、ある意味頭に入ってこないところがある。ロストロギアとは古代文明の遺産とばかり思っていたが、意外と闇の書の出自というのは近い時代だったようだ。なにせ、前のロストロギアであるジュエルシードは時代など残っていないものだったのだから。
「そうだね、それが古代ベルカのユニゾンデバイスである夜天の書だよ。八神さんのそれはどうやら闇の書のコアというべきものがなくなったせいか、元の闇の書に近いようだね」
「歓談中のところ失礼するよ」
僕が納得とも何とも言えない感情を抱いているところ、割り込んできたのはユーノくんとクロノさんだった。二人を視界にいれたとたん、ビクンとはやてちゃんが体を固くする。
ああ、そういえば、はやてちゃんにはまだ事情を話していないのだから、はやてちゃんの反応は自然なものだろう。それがわかっているからだろうか、クロノさんは僕にしたように深々と頭を下げた。
「僕らの身内が申し訳ないことをした。この件が片付いた後に必ず事態を説明する。だから、少しだけ待ってくれないか?」
相手は子供だというのにクロノさんは実に誠実に対応してくれる。そういうところがはやてちゃんも理解できたのだろう。身をこわばらせていたが、体の力を抜いて、まだ固さが残るが笑みを浮かべていた。
「わかりました。でも、あとで話は聞かせてもらいますからね」
「ああ、それで十分だ」
お互いに和解した、というようにクロノさんも顔を上げて微笑みを浮かべていた。ひとまずは事態がややこしくなることはないとみて安心したのだろうか。
とりあえず、事態は棚上げにするということだろう。なにせ僕たちにはまず解決しなければならないことがあるのだから。それが解決しなければ、悠長に事態の説明などできるはずがない。そして、僕たちは示し合わせたように海上に浮かぶ巨大な黒い繭に視線を向ける。
「一つ質問なんですけど、あれをあのまま放置したらどうなるんですか?」
これは単純な疑問だった。危険だ、危険だ、と言われても具体的にどう危険かまでは想像できなかった。もっとも、あの繭の中から怪獣のようなものが出てきて暴れまわるというのであれば、某恐竜の誕生であり、映画よりもはるかにひどいことになるのは目に見えているが。
「ふむ、そうだね」
クロノさんの改めて考えをまとめたかったのか、腕を組んで少しだけ俯くと目をつむり考えを巡らせるような態度で、しばらくの沈黙の後、再び顔を上げて口を開いた。
「まず、あの闇の書の防衛本能に従って膨大な魔力をまき散らしながら暴れるね。ひとしきり暴れた後、その体に存在する膨大な魔力を圧縮、臨界点に達したところで、爆発ってところかな。そして、闇の書自体は装備されている転生システムでまた宇宙の
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