A's編
第三十三話 前
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心したようなのは間違いないだろう。だが、意識はやっぱりあまりはっきりしないのだろう。疲れ切ったような表情で、だが、嬉しそうに微笑みながら彼女は言葉を紡ぐ。
「ショウくん、あのね………わたし、あの黒いのちゃんとやっつけたんだよ」
「うん」
どうやらエイミィさんからの報告は間違いではなかったらしい。どうやって、という方法はわからない。だが、それでもなのはちゃんは、自分で任せて、と請け負ったことをやってくれたようだ。とにもかくにも日本の危機は彼女の小さな双肩にかかっていたわけだが、なのはちゃんは無事にやり遂げてくれたらしい。
「本当に―――」
それは、僕の本心が零れ落ちたようなものだ。口にしようと意識していたわけではないのだが、それでも、零れ落ちてしまった。
「本当に、なのはちゃんがいてくれてよかったよ。ありがとう」
さして大きな声で言ったわけでもない。だが、抱きかかえているなのはちゃんと僕の顔の距離はさほど遠いわけではなく、彼女のつぶやくような声さえも聞こえていたわけだ。つまり、僕の声もなのはちゃんにちゃんと聞こえたようである。なのはちゃんは、一瞬だけ、驚いたように目を見開いて、それから、本当にうれしそうに微笑むのだった。
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