A's編
第三十三話 前
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その場にいた全員が海面上に現れた黒い繭に目を向ける。
ユーノくんの言葉を借りるのであれば、あれが今回の事件の元凶である闇の書の闇らしい。しかしながら、その大きさは巨大だ。かなり距離が離れているにも関わらず、相当大きいことだけはわかる。闇の書という本サイズの大きさにも関わらず、あんなものを内包しているというのだから、やはり魔法とはすごいのだろう。
「先ほど説明があったようにあれが闇の書の闇だ」
「正確には、闇の書―――正確には夜天の書と呼ばれた魔法蒐集型ユニゾンデバイスをロストロギアへと仕立て上げた巨悪の根源。闇の書へと至らしめた防衛プログラムが顕現化した姿だけどね」
ユーノ君が捕捉するように説明する。
今、僕たちは海上にいた。もっとも、海の上に直接立っているわけではなく、海面から突き出している岩場の上に立っているのだが。立っているのが僕とフェイトちゃん。そして、魔法で空を飛んでいるのがクロノさん、ユーノ君、そして、なのはちゃんだ。
「さて、あれをどうにかしなければならないわけだが………」
そういってクロノさんが、言葉を区切る。言いたいことはわかるつもりだ。つまり、何とかこの状況まで持って行けたのはいいけど、これから先を考えていなかった? いや、どちらかというとクロノさんたちもこの状況まで持って行けるとは考えていなかったのだろうか?
本来であれば、はやてちゃんをあの状況から回復させて―――って、あれ?
「はやてちゃんは?」
すごく今更だった。闇の書になっていたリィンフォースさんはいないわけで、残っているのは怪獣映画にも出てきそうなほど強大な闇の書の闇。その宿主であるはやてちゃんの姿がどこにも見られない。
きょろきょろと僕が周りを見渡していた時にそれらは起きた。
突如、何かが爆発したような音が大気を震わせる。びりびりとした空気を浴び、その中心地と思われる場所にその場にいた全員が目を向ける。黒い、例の巨体が浮かぶ場所から少し離れた何もない海の上空に存在していたのは、光の柱ともいうべきものだった。少しだけ膨らんだ場所を起点として、空と海を貫くように伸びる光の柱。それが物理的なものではなく、魔法的なものだと直感的に理解するのは容易だった。同時に、思い当たる節はたった一つしかない。
やがて、光の柱は少しだけ膨らんだ部分を中心として少しずつ光を珠の中に収めていく。そして、光が完全に球状になったかと思うと、徐々に小さくひびが入り、中から光が漏れてくる。やがて、ひびは球体全体を覆いつくし、内部から卵の殻を打ち破るようにして中身が露わになった。
「はやてちゃんっ!?」
球体の中から出てきたのは、白と黒を基調としたどこか守護騎士と言われていた人たちと似たような恰
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