第四章 『再会』
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うな!?」
嫌な予感が的中した。造物主と魔帝を相手取るという最悪の可能性が見えてきた事に、千雨がまくし立てていく。
「ただでさえ造物主一人に苦戦してたんだ。そこに魔界の帝王って! 第一ネギ先生だってこの有様なんだぞ!」
千雨が横たわるネギを指差した。千雨の指摘はもっともで、これほどの面子でも倒せなかった造物主に加え、魔界の帝王までも相手にするのは、冗談にしたいようなものである。その上“白き翼”の主戦力であるネギが行動不能では、とてもじゃないが勝ち目は薄い。
しかし、ネギに関しては、エヴァンジェリンから良い知らせが聞こえてきた。
「ぼーやなら気絶しているだけだ。少しすれば目が覚めるだろう。幸い、崩壊までの時間の猶予は出来たみたいだしな」
そう言ったエヴァンジェリンの目線は空にあった。他の者達も同様に空を見上げる。
頭上の空はどんよりとした、黒々しい色合いを浮かべていた。一見すると曇り空の様にも見えるが、実際は全く違う。魔界の障気を多分に含んだ魔力の塊が、空間の裂け目からこんこんと流れ込んでいるのだ。
「魔法世界の崩壊は、魔界から流れてくる魔力で一時的に鈍化しているようですね」
アルビオレイ・イマが裾を口元に当てて、エヴァンジェリンが言った“猶予が出来た”という意味を補足した。
現在、魔法世界各地で発生した魔力の竜巻は動植物問わず全てをチリの様に消し去り、依代の地表が徐々にあらわとなっている。まさに魔法世界は崩壊の一途を辿っていた。
そもそも魔法世界は、火星の大地を依代にして、その表層を覆うように人工的に創造された世界である。地球の四分の一程の表面積しかないものの、それでも一つの惑星に相当する大きさの世界だ。それを創造するには、想像を絶するほどの魔力を要する。そしてその際に使用された魔力が今まで機能し、実に数千年もの間、魔法世界を支えてきたのである。
しかし魔法世界内に存在する魔力の総量は、数千年という年月を経るうちに摩耗し、減退していった。その上、魔法世界の依代である火星には魔力の源である生命がなく、減退していく魔力を補うことが出来ない。そのため、世界を支え維持するための魔力はついに枯渇してしまい、それが魔法世界の崩壊の原因となっていた。
つまり、枯渇してしまった魔法世界の魔力に変わり、魔界から流れ込んできた魔力が魔法世界の形を留める役割になったのだ。
「しかしとても不安定な状態です。魔界との境目が小さくなれば、すぐに崩壊は激化するでしょう」
ゲーテルは、魔法世界の崩壊の鈍化という一見喜ばしい話に、冷静に指摘を入れた。実際、何名かはその話に喜んでいたが、ゲーテルの一言で消沈してしまった。
「それに魔界との境目が拡がれば、魔界の障気が相当入って来てしまいます。それに―
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