第四章 『再会』
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ゆっくりと閻魔刀を鞘に戻すと、踵を返し歩いていく。ダンテもバージルに倣ったかのようにリベリオンを仕舞いながら、言葉を続けた。
「おいおい。いくら柄じゃないからって、一言もなしか? 兄弟の“感動の再会”ってやつだろ? ……バージル」
名前に反応したのか、バージルは歩みを止め、半身だけ振り返った。赤い目はダンテを見つめている。無表情な顔に浮かぶ妖しく光る眼が、一層妖艶な不気味さを醸し出していた。
そこへ黒い影が降り立った。それは、身に纏う黒衣をはためかせながら、優雅に降りてきた造物主だった。傍らには概念結界に包まれ、眠ったように目を伏せている明日菜が浮いていた。
「神楽坂!」
エヴァンジェリンが指先に小型化した『断罪の剣』を爪のように精製し、造物主へ迫る。
「yeah!」
ダンテが地面を滑るように駆け、リベリオンの切っ先に魔力を上乗せして突き出す。
エヴァンジェリンの青白い軌道とダンテの赤い軌道が造物主の障壁を捉えた。しかし次の瞬間、二人は弾き飛ばされていた。
「流石我が娘だ。良い魔法使いになった。だが、子が親を越える道理はない」
着地したエヴァンジェリンへ、黒衣の一部から精製した槍を造物主へ投げつけた。エヴァンジェリンは弾き落とそうとするが、間に入ったダンテが投擲された槍をリベリオンで弾いた。宙へ舞った投擲槍は氷面へ突き刺さり、すぐに霧散した。
「これもまた、因果か」
そう呟いた造物主は、懐から何かを取り出した。それは多面体の鉱物の様な物で、各面には幾何学的な模様が浮かんでいた。ダンテはその物体を、マレット島で一度手にしていた。
それは卑金属を金へと変えるとされ、中世では、錬金術師達が求め研究した神秘の霊薬『賢者の石』だ。
しかしマレット島では、『賢者の石』は卑金属を金へと変えるためではなく、魔界への扉を開くための鍵として使用されていた。今から造物主が何をしようとしているのか、ダンテが気が付いたときには遅かった。
造物主の手にある賢者の石から、神々しくも妖しい光が洩れだす。そして造物主の手を離れ上空へと浮かび上がっていき、一層強い妖光が放たれた。すると、墓守り人の宮殿の上空に、裂け目が現れた。そこからは爛れるような障気を伴った濃厚な魔力が溢れ出し、その先には、魔法世界とも人間界とも違う世界、魔界の姿が広がっている。
「あれは、魔界か?」
その様子を見上げていたエヴァンジェリンが呟く。だがダンテはエヴァンジェリンの言葉に肯定も否定も返さず、その裂け目を凝視していた。なぜなら、流れ込んでくる魔力の大波の中に、赤い三つの光が浮かんでいたからだ。その赤い光を、ダンテはいやと言うほど知っていた。
「……もう復活しやがったか」
ダンテの拳に力が篭る。そ
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