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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第三章 『イレギュラー』
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を包み込む。これほどの火力なら、一瞬で焼け死んでもおかしくないだろう。

「くうぅ……!」

 だがそうはならなかった。なぜなら、古菲がアーティファクトの“神珍鉄自在棍”を高速で回し、迫る炎を打ち消していたからだ。もっとも、炎の威力、規模が大きすぎるために炎が燃え盛る方が早い。炎に飲み込まれるのも時間の問題だろう。

「さようなら。勇敢なお嬢さん達」

 そこへプリームムと弐がトドメとばかりに魔法を発動させた。プリームムと弐の背後に無数の黒杭が現れる。フェイトも使った魔法『万象貫く黒杭の円環』だ。
 まずい。焦燥とともに、千雨はじわりと嫌な汗が流れるのを感じた。
 古菲は炎を食い止めるので精一杯。影使いの高音・D・グッドマンも、全力で障壁を展開していて『万象貫く黒杭の円環』を迎撃出来る余裕などない。古菲達が動けない彼女らに、『万象貫く黒杭の円環』を迎撃出来るだけの戦力はなかった。
 それでもなお千雨は突破口を考えようとした。しかし、無情にもプリームム達は既に『万象貫く黒杭の円環』を放っていた。

(終わっちまうのか? ここまで、ここまで来たのにッ――)

 いくら悪態をついたところで敵の魔法が止まるわけもない。もはや彼女らに出来ることは、無数に迫る魔法の杭を待ち、自らでは抗えない死を受け入れることだけだった。
 だが彼女らに届いたのは魔法の杭ではなく、けたたましい金属音と、鈍い打撃音だった。
 何事かと恐る恐る目を開いたその先には、全ての黒杭を打ち落とした近衛近右衛門と近衛詠春が立っていた。

「遅れてすまない」
「いやはや、まさかこんな大事に巻き込まれるとは。じゃがみな頑張ったようじゃな!」

 彼等の娘であり孫である近衛木乃香は、予想だにしない助っ人に思わず声を上げ、他の者も、力が抜けたように安堵していた。近右衛門と詠春も、何とか間に合ったと安心していた。
 しかしすぐさまプリームムへ向き直していた。プリームムも詠春の顔をまじまじと見ながら話し掛けていた。

「少し老けたようだが、懐かしい顔だ」
「20年越しにまた会うとはな」

 彼等は20年前にも相対した者同士だ。思うところはあるのだろう。しかし感慨にふける時でもなければ、そんな猶予もない。

「だが、今度こそお前達との因縁にケリを着けさせてもらう」

 そう言葉を続け詠春は刀を構えた。眼光は20年前と比べても、勝るとも劣らず鋭い。詠春に倣うように近右衛門、プリームム、弐が戦闘態勢をとる。そして四人が一斉に動いた。

「麻帆良学園中枢への直接経路の確保。器の魂と肉体がここにあること。その器の肉親の血肉を入手出来たこと。全て計画通りだ。だがここに来てイレギュラーがいるようだ……なぜ貴様がここにいる?」

 ネギにより行動不能にまで痛
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