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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第二章 『宿命』
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なかった。ただ分かることは、その者が自分よりも強者だと言うことだった。
 そしてネギはあることに気が付く。フードによって隠された造物主の顔だ。その顔をネギは良く知っていた。長年追い求め、追いつづけていた彼の――。
 ネギの意識はそこで途切れた。
 そして深淵の闇が彼を飲み込み、体を変質させていく。
 靄のような闇が全身に纏わり付き、苦しそうなうめき声とともにネギの皮膚を黒く染め上げていく。しかし右腕は、赤黒くなっている。
 次第にうめき声が小さくなり、聞こえなくなってしまった。
 すると糸で引っ張られているかのように、すっとネギが立ち上がった。
 一瞬の静寂。
 その静寂の中、ネギは目をカッと見開いた。その瞳は深く紅い色に染まっていた。
 そして人のものとは思えぬ、まさに獣のような咆哮をあげる。それに伴い彼の皮膚は硬質化を始め、爪が肥大していく。そして肩や背中には大きな棘が、尾底からは二股に分かれた尾が、頭には一対の角が現れた。

「ちょっ、アニキは闇の魔法を会得したんじゃねぇのかよ!」
「そんなことより、もうあの状態になっちまったら、今度こそ死んじまうぞ!」

 カモと千雨がネギの暴走を見て取り乱す。前回の暴走の際、ネギは死の瀬戸際まで陥りつつも暴走の原因を克服した。しかしそれにもかかわらず、ネギはまたもや暴走を起こしてしまったのだ。さらにその姿はより“魔物”のそれである。
 その魔物の如く紅い目を妖しく光らせ、ネギは獣のような呻きと共に造物主を見据えていた。そして尻尾を地面に打ち付けるのと同時に、岩盤が砕け、ネギが飛び出す。
 凄まじい速度で造物主へ迫り、赤黒くなった右腕の爪が造物主を切り裂こうとする。だがネギの爪は、フェイトの多重障壁よりも強固な障壁により阻まれた。
 ネギは障壁を破壊しようと爪を押し込むが、突破できない。そこへ造物主は二人を貫いた槍をいくつも繰り出す。
だがネギはすぐに飛びのき、かわしていく。そしてそれをかいくぐる中、両腕の『千の雷』を解放・固定、掌握し“雷天双壮”を発動させる。通常、“雷天双壮”を発動したネギが放つ雷は白い。しかし今の“雷天双壮”の雷は、体表に呼応したかのように黒くなっていた。
 黒い雷が瞬くとネギの姿が消失する。
 その一瞬の後、造物主の障壁とネギの爪が音たてて衝突した。ネギはすぐに雷速で離れ、また造物主へ攻撃し、また離れる。造物主の周りが黒い光の筋により幾重にも重なっていく。
 しかし何十と攻撃を重ねようとも、造物主の障壁を破ることが出来ない。
 そんな最中、ネギの深紅の目が妖光を増したとともに見開かれると、攻撃が一層激しくなり速度も跳ね上がった。さらに(デコイ)を精製し、造物主を四方から取り囲む。そして囮が、魔力を集中させた右腕を障壁へ打ち付ける。
 これはまだ試
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