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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第一章 『吸血鬼と悪魔』
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ればいずれは廃人となるか、人間から理性のないただ破壊するだけの魔物に成り果ててしまうかである。
 仮に上手く制御できたとしても、もはや人間という枠組みを超えてしまい、新しい種として転生してしまう。つまりこの技法に手を出すということは種族としての人間にはもう戻れない、ということであり、ネギはその道を選んだと言うことになる。
 弟子の愚かな選択に少女は呆れていた。もっとも弟子が自分と同じ道を選択したことを少なからず喜んでいたが。
 そんな時、背後に気配が降り立った。すこし前に『魔』に属する者が学園に侵入したことを結界を通して知っていたが、今は事態が事態だ。それにそう強くない反応だったので放っていたが、どうやら向こうから少女に会いに来たらしい。

「貴様は何者だ?」

 少女――最強種とされる吸血鬼の真祖が振り返り言葉短く問う。そこには赤いロングコートを纏った、悪魔が恐れる最強の狩人がいた。
魔法世界で神に準ずるとされる古龍と同格の、最強種として謳われている吸血鬼の真祖(ハイデイライトウォーカー)
 伝説の魔剣士の血を引く半人半魔であり、魔界に君臨する魔帝ムンドゥスを封印した最強の悪魔狩人(デビルハンター)
 二人の最強が麻帆良学園にて対峙した。
 吸血鬼の真祖――エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは金色の髪を風になびかせ、刺すような眼差しをむけている。そして最強の悪魔狩人――ダンテは銀色の髪をかき揚げ、苦い顔を見せていた。

「何者かって? あー、俺はこんな姿をした悪魔を狩りにきた、ただの便利屋さ」

 ダンテはコートの内側から一枚の写真を取り出した。

「この嬢ちゃんみたいな姿らしいんだが……」

 その写真はエンツォが持ってきたものだ。写真には金髪の少女が紅茶を嗜んでいる姿が写っている。その少女はまさしくダンテの目の前にいるエヴァンジェリンその人である。
 それを聞いたエヴァンジェリンの顔が、僅かに歪んだ。
 昔から彼女の首を狙う輩は数多くいた。それこそごろつきのような賞金稼ぎから、一国の正規軍までもだ。しかし呪いによって麻帆良学園に封印されてたこともあり、もう随分とそのような輩はいなかった。
 だが目の前の銀髪の男は自分を狩りに来たという。なんという愚か者で、なんというタイミングに来るのか、とエヴァンジェリンの心中は穏やかではなかった。
 なぜなら取り払っておかなければならないことが増えたからである。以前学園へ侵入したヘルマンという伯爵級の悪魔よりも弱い反応だったこともあり、学園内をチョロチョロ動き回る程度なら自分が動かなくてもそこら辺にいる魔法先生が何とかすると踏んでいたが、自分を狙っているとなれば話は別だ。
 何事も大きな障害を取り除いておくことは当然であるが、時には小さな障害や要素にはそれ以上に
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