暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
七章 「夜に二人」
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無銘でも剣は剣だ。それに宝具より当然、投影速度は早い。椅子の脚でも戦えたんだ、何も宝具に拘る必要はないとは思う。けど、それがフリアグネ相手になると少々不安がある。
 俺は窓の外を眺めながら思案する。あれから天気も崩れて、外では雨が降っていた。こんな天気でも、彼女は外で警戒を続けているのだろう。
 こう、毎度の事ながら女の子に守られてるなんて本当に情けないな。なんだで、聖杯戦争の後も遠坂に世話を妬かれっぱなしだったし。
 けど、格好がつかない事この上ないな。別に格好をつけたい訳でもないし、世間で言う程、正義の味方の真似事は華やかな物じゃない事は分かってはいるんだけどさ。
 せめて一人でなんとか出来る様にしないといけないよな。遠坂もいないんだから。

 そんな事を考えながら、ぼけーっ、と窓の外を眺めていると外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 雨音に混じりながらだから、ハッキリと断定は出来ない。けど、そもそもこの時間に、この天気で、窓の外から聞こえてくる声の持ち主なんて一人くらいしか思い付かない。まぁ、一応は聴力を強化して確認はしておくか。敵なら敵で厄介な話だし。
「―――妙な――違う。―――そう、嫌な奴!」
 途切れ途切れでしか聞こえないけど、やっぱり間違いない。この声はシャナだな。
 こんなに雨が降っているのに、外で警戒するなんて感心だなぁ。何処か屋内で良い所はなかったのか? 正直言って、凄く気まずいじゃないか。朝と夕方に襲撃があるんだから、夜の間は別に良いってのに。それに雨だぜ? 雨。
 勘弁してくれよ、全く。
 雨音に紛れて聞こえるのは罵声だし。しかも、嫌な奴、って所だけ妙に声が大きいし。
 多分、と言うか確実に俺の事を言ってるんだろうなぁ。罵倒されるような事をした覚えはないんだけどな、俺は。
「屋根の上………だよな。ったく、この天気の中で何でそんな所を選んだんだよ」
 嘆息がついつい出てしまうが、そこは仕方がないと思う。とにかく風邪をひかれても困るし、取り合えずこちらから出向く事にするか。
 素直に説得をしても無駄な気がするし、何か差し入れも交える事にしよう。交渉には貢ぎ物をってのは、いつの時代でもお約束だしな。
 そうと決まれば、まずは梯子だな。後、傘と……差し入れは飲み物で良いか。


  ◇


 という事で、傘と差し入れを用意して屋根に梯子を掛けた。思ったよりも雨足が強い。中に入れよ、なんて格好つけた矢先に、滑って頭でも打てば惨め極まりないので、少し慎重に行動する事にするか。
 さて、屋根の端から傘と頭を出してみると、屋根の上には案の定だが、シャナが傘を差して座り込んでいた。雨の中で、だとか下に何も敷かないで、だとか突っ込みどころは色々あるが、その前にまず言いたい。

 ―――何で胡座なん
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