第4部 誓約の水精霊
第1章 聖女
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線を向けているルイズであったが、ウルキオラは全く見向きもせずにルイズの横を通り過ぎた。
ルイズがウルキオラを呼び止めようとしたが、それよりも先にウルキオラが口を開いた。
「そういえば、ついさっき俺の座っていた椅子に大きな石が降ってきてな」
ルイズはウルキオラの言葉にびくっと体を強張らせた。
「そ、そう…それは災難だったわね」
ルイズは詰まりながらもなんとか相槌を打った。
「ああ、本当に災難だ。危うく石を投げつけた輩に攻撃を仕掛けてしまうところだった」
ルイズは顔から血の気が引いてしまった。
「だが、この辺りにはお前とシエスタ以外居ないようだ。シエスタは俺の隣にいたから石を投げるのは無理だろうな」
ウルキオラはルイズの方を振り向いた。
「精々、気を付けるんだな」
「な、なにがよ」
ウルキオラは響転でルイズの前に移動し、ぽんとルイズの頭の上に手を置いた。
「お前の上にも石が落ちてくるかもな」
そういって、ウルキオラはルイズの頭をわしゃわしゃと撫でた。
ウルキオラがルイズの部屋に戻ったのは、夜の八時過ぎである。
既に辺りは真っ暗で、眩い光を放つ双月が空に上っている。
ルイズは布団に包まって、微動だにしない。
ちょっとやりすぎたか?と思いながらも、剣を腰から外し、シエスタから貰ったマフラーを机の上に置いた。
いつもの椅子に腰かける。
ウルキオラが本を開くと同時に、ルイズの布団がもぞもぞと動く。
「なんだ、起きていたのか、ルイズ」
ルイズはウルキオラの言葉に返答せず、布団から手をだし、こっちにくるような素振りを見せる。
ウルキオラは本を閉じ、ベッドに向かう。
ルイズは、ん、といって布団の中に入るように迫る。
ウルキオラは言われるがままに、ルイズの入る布団に体を入れた。
ルイズはウルキオラの腕に抱き着いた。
「離れろ」
ウルキオラの要求を無視するかのようにルイズはもっと強く抱き着いた。
ウルキオラは深く溜息をついた。
ルイズはウルキオラの肩を枕代わりにした。
「ね、ねえ、ウルキオラ」
「なんだ?」
「あのマフラー…」
ウルキオラは机を見る。
「シエスタがくれた」
「そ、そう…」
沈黙が流れる。
「ごめん」
「唐突にどうした?」
ウルキオラは本当に何を急にと思っていた。
「なんでもない!」
「そうか」
ルイズは布団から飛び上がると、ウルキオラの頭の横に手をついた。
「も、元はといえば、あ、あんたが悪いんだもん!わ、私が謝る必要なんてないんだもん!」
ルイズはウルキオラの顔を覗き込んだ。
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