第4部 誓約の水精霊
第1章 聖女
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の文字である。
イーヴァルディーの能力のおかげで、ウルキオラはなんなくこれを読み上げることができた。
「なぜ、俺の名と、お前の名が入っている?」
そう尋ねると、シエスタははにかんだ笑みを見せた。
「えへ……、ごめんなさい。書いちゃいました。迷惑だったかしら?」
「別に」
ウルキオラは短く答えた。
「だが、もらっていいのか?編むのに苦労しただろう」
ウルキオラがそう呟くと、シエスタは頬を染めた。
「いいんです。あなたのために編んだんだもの」
シエスタはもじもじしながら言った。
「そうか」
ウルキオラはそんなシエスタを見もせずに紅茶のカップに手を伸ばした。
そして、カップを置き、徐にマフラーを掴んだ。
疑惑が生まれる。
「随分と長いな」
「えへへ、それはね、こうするの」
シエスタは椅子をウルキオラの横に移動させた。
マフラーをウルキオラの手から取ると、自分の首に巻きつけた。
そして、ウルキオラの首にも巻く。
なるほど、これは二人用か、と気づいた。
「えへへ、どうです?」
そういって、ぐっと自分の目を覗き込んでくるシエスタの目は、まるで無邪気な犬のようであった。
ウルキオラは、二人用とはまったくこの上なく不便だなと思った。
そんなウルキオラの考えなど知る由もなく、シエスタはさらに攻撃を仕掛けてきた。
なんと目を瞑って唇を突き出してきたのである。
ウルキオラは、シエスタの行動が理解できなかった。
シエスタはウルキオラが唇を近づけてこないので、自分で距離を詰めるつもりになったらしい。
ウルキオラの頭をぐっと掴むと、大胆にも引き寄せた。
シエスタは、大胆になると、とことん大胆になる少女なのだ。
ウルキオラは抵抗する素振りを見せない。
この行動の意味を理解したかったからである。
そんな風に考えていると、探査回路が上空からの飛来物を知らせてくれた。
ウルキオラはシエスタを抱きかかえ、響転で椅子から移動した。
急に抱きかかえられたシエスタは、ウルキオラの腕の中でぽかんとしている。
少しして、ウルキオラが座っていた椅子の上に大きな石が降ってきた。
ウルキオラは抱きかかえたシエスタの顔を見た。
「怪我は?」
「だ、大丈夫です」
シエスタは顔を真っ赤にしながら答えた。
ウルキオラはシエスタを下した。
シエスタとウルキオラが座っていた椅子の左側、十五メイルほど先の木の陰で、荒い息をつく少女がいた。
ルイズである。
ルイズは地団太を踏んだ。
その隣には、インテリジェンスソードのデルフがいた。
ウルキオラは邪魔
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