第二部 『普通』を求めていた、人間ではなくなった少女と人間になりたかったロア
原作二巻。不思議な夢
プロローグ。 不思議な夢
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夢っていうのならあるかな?」
「猿? あの、ウッキーの?」
「そ。ウッキーの。お猿さんの夢」
キリカの話では猿の夢という都市伝説はいわゆる続き物と呼ばれるもので、夢の中で電車に乗っていると車内アナウンスが流れ始めて、いきなりおっかない事をいい始める、というものらしい。
『次は〜、活け造り〜活け造り〜』という感じでな。
この活け造りは魚の活け造りではなく、人を活け造りにしてしまうものだという。
夢を見ている人が後ろを見ると、電車の一番後ろに座っていた人が、大勢の小人に刃物でズタズタにされて、魚の活け造りにされてしまった、というのが始まりらしい。
しばらくすると今度は『次は、抉り出し〜抉り出し〜』という車内アナウンスが流れてたくさん出てきた小人達が後ろの席に座っていた人の目玉を抉り出した……そして次は、いよいよ自分の番。
早く逃げないと……と思っても、体は動かない。
そうこうしているうちに、流れるアナウンスからは『次は、挽き肉〜挽き肉〜』とアナウンス音が流れて。
挽き肉になりたくないから大慌てで『夢から覚めよう』と願ってもすぐ近くから『ウイーン』っていう機械の音が響いてきて……。
そして……。
そこで辛うじて目が覚める。
ここで終わればただの怖い夢だ。
しかし、この都市伝説が続き物と呼ばれるのには勿論理由がある。
それから何年か経った頃、そんな夢を見た事をすっかり忘れていた時に、再び同じ夢を見る。
で、今度は目を覚ます直前に『また逃げるのですか〜?次に来た時は最期ですよー』と言われた、っていう話だ。
夢を見たその人は『もし次に同じ夢を見たら私は死んでしまうかも』と他の人に語っていた。
現実世界の死因は心臓麻痺かもしれないけど、夢の中では挽き肉ですってな。
そして、この話を聞いた人が、自分も『猿の夢』を見た! って言い始めた事から、『聞いたら同じ目に遭ってしまう話』として語られるようになった、というのが猿の夢の都市伝説だ。
キリカからその猿の夢の都市伝説を聞いた俺は少し考え込んでからキリカに告げた。
「まあ、俺が見た夢はそんなに怖い夢じゃなかったはずだよ」
「そうなんだ?」
「起きた時、ちょっと残念だったくらいだからね」
そう、目が覚めた時、寂しさみたいなものを感じたんだ。
それに何処かで会っているような不思議な感覚も……。
そんな感覚を思い出していると______
「おーい、モンジいるー?」
教室のドアの方から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「およ?」
キリカの視線もドアの方に向かい、俺もそちらの方を見ると、薄い茶色の髪をいわゆるツインテールにした、快活そうな女の子が立っていた。
まるで前世のパートナー、アリアを思わせる強気な瞳をした少女が。
瞬間
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