第18話:疲れた心に癒しを(前編)
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た。
「はい、申し訳ございませんでした」
俺は、カワカミ先生に素直な気持ちで謝った。どんなに疲れていると理由をこじつけても、俺が寝ていたことが悪かった。
「塚原さん、また遠野君が居眠りしていそうだったら頼むわね」
「はい、先生。任せてください」
「うん、任せた」
任せなくてもいいのに、と俺は二人のやり取りを傍聴しながら心の中でぼやいた。
「そうだ、眠気覚ましにコーヒーでも飲んでいく?」
「すみません。頂きたいのはやまやまなのですが、そろそろ教室に戻ります」
先生はコーヒーを勧めてくれたが、俺は丁重に断った。コーヒーが嫌いだからではない、むしろ好きなくらいだ。
断った理由は、俺自身の先生方にウケが悪いことから、職員室に長居すると針のムシロになっている気がして、居心地が悪いのだ。少なくとも、俺自身は先生方からのウケが良いとは思っていない。表立って罵声を浴びることは流石に無いが、口達者で生意気な生徒、授業態度が芳しくない問題児、などの感情を込めた視線が向けられていることくらい分かる。
「そう? じゃあ、次の授業もしっかり聞くようにね」
「はい、それでは失礼します」
「失礼します」
俺たちはカワカミ先生に一礼して、その場を離れようとした。その時である。
「う……」
再び眩暈が俺を襲った。その強烈さは前回とは比べようもないほど強く、目元を押さえた。やがて、足や頭には意識が向かなくなり、やがて――俺の身体は、職員室の床に打ち付けられた。
意識を失う前に見た最後の光景は、響の驚いた顔、そしてその顔が悲しく歪んでいくものだった。そんな顔、見たくなかったのに。
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