『祭』〜後夜祭〜
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……織斑先生が棄権したのは一夏さんが誘拐されて脅された、ということなの? そんなことを考えていると織斑先生がこちらを向いた。
「今聴いたことは絶対他言するな、いいな」
有無を言わせない迫力に私は返事もできず頷くしかなかった。あの棄権についてはそれこそ様々な噂があったがどれも説明不足だった。なにせあの時点で織斑先生が棄権する理由などなかった。でもこれで合点が行く。私が席に着くと同時にエリスさんが入ってきた。既に自分以外の人が揃っているのを見てエリスさんが軽い調子で尋ねる。
「あっれ、もう始まっちゃってます?」
「いや、時間丁度だ。席に付け」
エリスさんは少しホッとすると私の隣の席に座った。
そのあとは2時間ほど詳細を詳しく説明し、映像記録を提出。最後に改めて他言無用の約束をして解散となった。
「あー、終わったー! ほんじゃねー」
部屋から出ると真っ先にエリスさんは自室へと戻っていった。自由奔放というかなんというか。でもこういう時はあの人の明るさが助かります。まあ、結局一夏さんと私は残されて気まずい空気なわけですが……
「も、戻りましょうか……」
「ああ……」
それだけ言葉を交わすと寮の部屋までほぼ無言で廊下を歩く。カツンカツンと足音が以上に大きく響いていた。いつもこの時間は賑やかな廊下も自室待機によって今は誰もいない。そして誰にも会うことなく一夏さんの部屋の前についた。
「じゃあ……」
「は、はい。おやすみなさい」
そう言って私は背を向け……
「あのさ!」
「はい?」
その私の背中に一夏さんが声をかけてきた。私はなんとなく振り返らないで声だけ返した。
「さっきのこと……今は無理だけど……ちゃんと話すから。皆に。だから今は……」
……はあ。少しだけ心の中でため息をついてしまう。一夏さんからみたら女性は噂話好きということなのだろうか。まあ噂話が好きというのは否定しません。それとも私はそこまで信用できない、というなのだとしたら少しへこんでしまう。
「大丈夫です。誰にも言いません」
「ありがとう。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
後ろのドアが開く音、閉まる音を聞いて私も部屋に入った。部屋の中では既に事情聴取を終えた箒さんが寝間着姿でベッドに座っていた。
「おかえり。どうだった?」
「ただいま帰りました。どう、と言われましても……」
私は一夏さんの話だけを省いて箒さんにこれまであったことを話した。
「亡国機業…ニュースでは知っていたが本当にそんな組織が襲ってくるとは、まるで映画のようだな」
「そうですね。にわかには信じられません」
「そいつらが『白式』を?」
「正確には『
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