『祭』〜後夜祭〜
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』へと全神経を集中させていたが、『サイレント・ゼフィルス』は全く動く気配がない。むしろ『アラクネ』が撃たれるのを見て唯一隠れていない口の端が釣り上がっている。
(どういうこと? 味方ではないというの?)
ジャンヌは思考を巡らしながらもマシンピストルの弾丸を装填する。その時、『アラクネ』が装甲脚の一つを上空に向けた。しかしそれはラリサとジャンヌに向けてではなく『サイレント・ゼフィルス』に向かってだ。その先端から発射された弾丸は『サイレント・ゼフィルス』に向かい、シールド・ビットに弾かれた。
(やはり味方ではない? でもどうしてわざわざラリサじゃなくて『サイレント・ゼフィルス』を……)
一瞬……ジャンヌが『アラクネ』に気を逸らしたほんの一瞬で『サイレント・ゼフィルス』は動いた。気づいたときにはジャンヌの体は猛烈な勢いで空中を舞っていた。
「何!?」
ジャンヌは叫びとともに体制を立て直す。胸部装甲に瞬時加速からの蹴りを見舞われたとわかったのはその時だ。
「おい、奴ら逃げるぞ!」
ラリサの叫びでジャンヌも気づいた。『サイレント・ゼフィルス』は『アラクネ』の装甲脚の一本を荒々しく掴むとそのまま加速して離脱していく。ジャンヌはそれを見た瞬間、すべての武装をしまうと共に一つの武装を展開した。
「逃がさない!」
全長8mを超える長大な砲を持つ超電磁砲。既に亜音速飛行に入っている敵でもこの武装ならば撃ち抜ける。
ジャンヌの右目の正面にターゲットスコープが展開され、目まぐるしく動き回る。『サイレント・ゼフィルス』の動きとターゲットスコープが重なった瞬間、ジャンヌは引き金を引いた。落雷のような轟音とともに加速された弾丸が発射される。数秒後、何も反応のない空を見つめてジャンヌは静かに超電磁砲を量子化した。
「外したわ」
「ま、そうだろうな」
ジャンヌの隣まで上がってきたラリサは分かりきっていたという風に肩をすくめた。
「敵がいなくなったんだ。ジャンヌ、私たちも炎弾の迎撃に行くぞ」
「自信なくすわね。代表二人掛りで逃げられるなんて……亡国機業、一体どんな人材を抱えているというの」
「それを言ってくれるな。私も傷ついているんだ。その件は後回しだ」
「わかったわ」
そう言うと二人はIS学園の上空に迫りつつある炎弾に向かって飛翔を開始した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なにこれ……壊れない!」
迫り来る炎弾に『ハディント』を撃ち込んだ私は思わずそう叫んだ。直撃した弾丸は全て炎に飲まれ、肝心の塊には一切影響が出ていない。
『その炎弾に小口径の実弾はほぼ無意味。
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