最後の戦い
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品で満たされている
「首筋に打てばこの子は解放してあげるよ」
ニタァとサディスト地味た笑みを浮かべる新川。俺は死ねない。だが、ミユも失いたくない
「……私のことは……いいから……!」
「だから、うるさいって言ってるだろぉぉ!」
「っ……!」
今度はミユの頬を張る新川。その様子を見て、歯を食い縛りながら、手の中の注射器を見る
全体は二十センチほどある、光沢を放つクリーム色のおそらくはプラスチック製
先には銀色に鈍く光る金属パーツがあり、尖っている。ここから致死量の毒薬を打ち込むことは容易に想像できる。円筒部分には緑色のスイッチがあり、そこを押せば死刑が執行されるといったところか
「早くしろよ!」
俺がすぐには動かなかったのを見て、苛立たしげにミユの首筋を注射器の先で突く
なにか……なにかないか。一瞬でもいいから新川の意識をこちらから外せるなにかが
「リン!」
俺を呼ぶ声が響いたのは新川とミユの向こう側
部屋の中にいるはずの詩乃の声
「なっ!?」
神経がささくれだっているときに後ろから、いきなり声をかけられれば誰だって振り返る
例にも漏れず新川を振り返った
「ふっ!」
千載一遇のチャンスを見逃す手はない。新川の意識が詩乃へと向いた瞬間、俺は手の中にあった注射器を捨てて駆け出した
一歩、二歩、新川の元へ駆け寄り、拳の攻撃範囲に入ると同時に短く息を吐きながらミユの首筋に当てられていた注射器を弾く
続いてミユの足を払い、ミユの足と首を手で抱え上げて、いわゆるお姫様だっこをして新川から離れた
「朝田さん!」
新川の顔が晴れやかな表情へと変化する
暗闇の中で一筋の光を見たような、砂漠の中でオアシスを見たような、そんな表情だ
新川は地面に転がった薬品の入った注射器を拾いもせずに詩乃へと近づいていく
「新川君。私弱いから……弱かったから新川君をそこまで歪ませたのかもしれない」
「朝田……さん?」
「ごめんなさい。でも……だからこそ私が新川君を止める。これ以上、私の背負ったような人殺しの罪を背負わせるわけにはいかないから」
決意に満ちた目をしているのはここからでもわかる。ただ、手に持っている武器。五キロはありそうな巨大な黒い鉄の塊はダメだと思う
歪みを直すはずの一撃が、それを通り越してそのまま昇天しそうなんだが……
詩乃のその様子に唖然として動きを止めた新川の脇腹に詩乃の持った鉄塊が横殴りに直撃した
新川は為す術もなくこちらに一直線。というかこっちに飛ばすなよ……
「あー……どうするか」
完全に弛緩してしまった場のシリアス度だが、このままだとミユごと新川に潰されてしまうので、受け止めないといけない。どうせ
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