『彼』
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とした。
別に強く言った訳じゃないが幹凪の顔は真っ青だ。
「解れば良い。
それで・・・傷口は大丈夫か?」
「あ、ああ。
だ、大体・・・治った」
本当に凄いな。
殆ど完全に治ってる。回復能力の高い喰種は希少で貴重なサンプル扱いを受けるが別に有力な情報を有しているなら逃がしても構わない。私達の目的は喰種の殲滅、逮捕だが・・・無抵抗の喰種を痛め付け殺しても無意味だ。
「凄い回復力だな」
「俺は・・・回復力だけに特化した喰種だ」
喰種の表情は暗い。
脅されてると勘違いしてるのか、スラスラと口から言葉を放つ。
「戦闘力は低い・・・・本当に回復力だけに特化した・・・役立たずなんだ」
「一々、怖がんなよ?
普通に会話してるだけじゃねぇか?」
幹凪はキツめに言う。
「お前が逆の立場で、そう言えるのか?」
「言えますね〜
余裕ですよ」
「そうか・・・・なら次の戦闘時はお前を喰種の陣地に投げ込もう」
「冗談ですよ!
冗談、間に受けないで下さいよ!」
冗談・・・・・なのか。
幹凪程の実力者なら大抵の喰種は殲滅出来る筈だ。
多分、私が嘘を言わない事を知っている幹凪は本当に次の戦闘で敵陣地に投げ込むと信じ込んだのだろう。
冗談、私も冗談位、言うさ。
「君の名前は?」
「野田 ・・・秀夫」
「へぇー。
喰種に名前なんて有んの?」
疑問を抱いた幹凪は喰種の周囲をグルグル見て言う。
「君は・・・一般的知識を脳ミソに叩き込んで出直して来い」
人間の姿、形状は殆ど同じ喰種は人間に潜み生きる。
体を組まなく調べない限り人間か喰種か見分けが付かない彼等は人間社会に溶け込み人間達と共に生きる場合が多い。人間の名前は人間社会に溶け込む為に必要な物だ。人間達と共に行動すれば喰種と怪しまれず普通に生活出来る可能性が飛躍的に向上する。目の前の喰種 野田 秀夫もその一人と考えて間違いないだろう。
「『彼に』に関する情報を私達に提供してくれないか?
君に危害は加えない。
話せば君を開放する」
「ほ、ほ、本当・・・・か?」
「嘘じゃない。
私は嘘が嫌いでね」
真実を告げると喰種は安心したのか安堵の溜息を付く。
狩られる側と狩る側、喰種は人間を狩る。
が、逆に人間も喰種を狩る。
互いに歪み殺し合う。それが喰種と人間に与えられた運命だ。
「1ヶ月位前に・・・・変な奴、変な喰種が17区に来た」
「変な?」
「言葉が通じない喰種で・・・短気で・・傲慢で」
その言葉を聞いて私は隣の幹凪を見る。
「何で、俺を見てるんですか!!」
「短気で傲慢・・・・君に似てると思ってな」
「俺は我慢する時は我慢します!」
子供の様に幹凪は訴えるが、私から見た君は子供だ。
見た目も実年齢も私に比べれば幼い。
「ん?
待てよ。
確か・
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