第三章
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だが、だ。そのジャガイモの箱は。
重かった、それも相当にだ。少なくとも彼が前の店で運んでいたジャガイモとは三倍位の重さがあった。それで。
よく見ればだ、その箱はというと。
途方もなく大きい、彼はその大きさに驚いて言った。
「何ですか、このジャガイモの箱は」
「それがなのよ」
「それが?」
「うちのお店のジャガイモなのよ」
「何でこんなに大きな箱に入ってるんですか」
「決まってるでしょ。トレーニングも兼ねてよ」
メタルは凌に平然といつものおネエ口調で答えた。
「答えは一つよ」
「いえ、一つって」
「だから。ワテクシの趣味はね」
やはりバレリーナ、女性のそれの様に優雅な仕草で語るメタルだった。
「トレーニングなのよ」
「それが何か」
「だから、鍛えているからよ」
それで、というのだ。
「こうして食材もね」
「重く、ですか」
「そうお願いしてるのよ。一度に運べるし」
「それでこんなに重いんですか」
「そうよ」
返答は一言だった。
「ワテクシの注文でね」
「わかりました」
「だからね」
「運び込みはですね」
「気持ちは受け取らせてもらうわ」
凌の手伝おうというそれはというのだ。
「けれど人手がね」
「必要ですね」
「すぐに呼んで来るのよ」
運ぶのならというのだ、そして実際にだった。
凌は空いている人を呼んでそうしてメタルの手伝いをした。その時はこれで終わったがこの他にもだった。
凌はキッチンに入った時にふとフライパンを持ったmだが。
そのフライパンも異様に重い、それでびっくりとしていると。
若いシェフがだ、こう彼に言って来た。
「それチーフのです」
「メタルさんのですか」
「はい、あの人のフライパンでして」
「物凄く重いですよ」
フライパンの重さではなかった、とても。
「信じられない位に」
「そうですよね、けれど」
「このフライパンでないとですか」
「チーフは駄目だっていうんですよ」
「ちょっと重いにも程がありますけれど」
「あの人力が強いですから」
それで、というのだ。
「これだけの重さでないと」
「駄目なんですね」
「そうなんです」
だからだというのである。
「あの人は」
「わかりました、しかし」
「しかしですね」
「あの人何でも重いものを持たれていますね」
「トレーニングの一環で。しかも」
「重いものでないとですね」
「仕事にならないらしくて」
プロフェッショナルの彼にとってはというのだ。
「それでなんです」
「そうですか、何か大変ですね」
「そうですね、けれどお陰で」
「力仕事はですね」
「チーフ大得意ですから」
その有り余る力のお陰で、というのだ。
「そうなんですよ」
「ううん、
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