第一章
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
力持ちは難しい
三島凌は背は一七〇程とそれ程高くはない。黒から少し茶色にしている髪をショートにしていて薄めの眉を綺麗に整えてカーブにさせている。
二重の目は明るく黒目のところは大きい。口はやや大きめで唇が中央に集まっている。人懐っこい顔立ちで鼻も結構高い。髪から出ている耳の形もいい。
彼はとあるハンバーガーショップで店長をしている、大学を出てすぐに入社して数年で店長にまで昇進したのだ。店の売上もよく優秀な店長と評判だ。
しかしだった、彼はある日だ。本社から来た人にこう言われた。
「転勤ですか」
「ああ、そうだよ」
今の店からというのだ。
「後で正式に辞令が来るがね」
「じゃあ別の店に」
「そう、しかしね」
「しかし?」
「今度の店はハンバーガーショップじゃなくてね」
彼が今店長を務めている様な店ではなく、というのだ。
「レストランなんだよ」
「レストランですか」
「そう、そこの副店長さんになるんだよ」
レストランの、というのだ。
「大きい店だからね、そこでね」
「今度は副店長ですか」
「そう、そうなってもらうよ」
「わかりました」
副店長といってもハンバーガーショップとレストランでは店の規模が違う、それでだった。
凌はこのことを昇進に近いと考えた、実際に給料も上がることが伝えられた。それで彼は次の店長や残る店員達に申次をしてから。
そのレストランに向かった、店長も店員達もいい人達だった。
だが肝心のシェフがだ、この人がだった。
大柄で筋肉質だ、しかもスキンヘッドで。
顔には化粧をしている、かなり異様な外見である。おまけに。
「はじめまして、副店長さん」
「は、はい」
仕草も口調もおネエ言葉だ、その強烈な個性にだ。
彼は戸惑った、だが。
店長は彼にだ、笑顔でこう話した。
「この人あってのこの店だよ」
「そ、そうですか」
「うん、我が八条フードでも指折りのシェフでね」
「斎藤メタルよ」
彼の方からだ、何故か身体をくねくねとさせて名乗って来た。シェフの服装で筋肉質の大柄な身体で、である。
「ワテクシ腕には自信がありますの」
「そうなんですね」
「はい、ですから仕事には妥協しません」
「凄い人だからね」
店長さんはそのメタルも見つつ凌に笑って話す。
「この人は」
「何となくわかります」
これが凌の返答だった。
「そのことは」
「ははは、何となくか」
「はい」
「趣味はエステとお料理とトレーニングよ」
メタルは聞かれなくても言って来た。華麗なバレリーナの様なポーズまでして」
「好きなタイプは織田裕二さん」
「そうですか」
「そう、宜しくね」
「わかりました」
凌はとりあえずメタルの言葉に頷い
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ