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第二章

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「結婚式の時は」
「皆来てくれるわよ」
「スペインから」
「そう、私のお祝いにね」
「それって大変だよね」
 遠いスペインから日本に来るのはというのだ。
「やっぱり」
「飛行機だから」
「今じゃすぐっていうんだ」
「そう、すぐに来てね」
「すぐに帰られるから」
「別に大変じゃないから」
「けれどお金も」
 疲れはしなくともだ、今度はこのことを話に出した祐也だった。
「かかるじゃない」
「大丈夫よ、それ位のお金は」
「あるんだ」
「確かにスペイン今は危ないけれど」
 経済的にかなり辛い状況にあるというのだ、これは欧州全体のことであるが。
「それでも一回行き来出来る位のお金はね」
「あるのね」
「そう、あるから」
 それでだというのだ。
「気にしないで」
「だといいけれど」
「祐也の親戚も大丈夫よね」
「うん、皆大阪嫌いだけれどね」
 二人が今いる大阪をだというのだ。
「京都だから」
「大阪と京都って仲悪いわよね」
 テレサは日本暮らしの中でこのことを知った。実は大阪と京都は何かと仲が悪いのである。
「もっと言えば京都と他の関西の府県が」
「まあね、京都はね」
「ちょっと、よね」
「あまり好かれていないことは確かだね」
「他の府県から」
「お高く止まってるって言われてね」
「それで祐也の親戚の人達も」
 彼等もというのだ。
「大阪嫌いなのね」
「向こうも嫌いなんだよ」
 大阪、もっと言えば他の府県をというのだ。
「相手のことが」
「嫌えば、よね」
「嫌われるしね」
「そういうことでなのね」
「僕はたまたまね」
 祐也自身はというと。
「大阪の大学だったし」
「そこしか受からなくて」
「最初から大阪も他の府県も嫌いじゃなかったから」
「あまり抵抗なくだったっていうのね」
「そう、大阪にはいられたから」
 それでだったのだ。
「今も抵抗ないよ」
「そうよね」
「けれどそれは僕だけだから」
 他の親戚はというのだ。
「皆違うからね」
「大阪嫌いだから」
「そこがね」
 どうもというのだ。
「大丈夫かなって思うけれど」
「そうなのね、けれどね」
「けれど?」
「私は確かに大阪育ちだけれど」
 それでもだというのだ。
「生まれはスペインだから」
「だから京都人でも」
「大丈夫じゃないかしら」
「だといいけれどね」
「そうした相手の人はね」
 つまりだ、他所者を好まない者達はというのだ。まさに祐也の親戚の面々がそれである。
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